テレワークで直面した課題の1つに、業務効率の低下が挙げられる。ビジネスパーソンはこうした課題を克服して、効率良くテレワークを続けていきたいところだ。それには時間と場所を有効活用して柔軟に働く工夫が欠かせない。具体的にどんな工夫が有効なのか。今回はオフィス家具大手、イトーキの現場における、場所を有効活用して働くノウハウを紹介しよう。
前回までは、時間を有効活用することで、テレワークにおける生産性を高めるノウハウを紹介してきた。テレワークでは場所も有効活用できる。自宅で働く在宅勤務の他、サテライトオフィスでの勤務、外出先の近くのカフェなどでパソコンやスマートフォンを使って働くモバイルワークなど様々な形態があるからだ。さらにテレワークと、オフィスでの出社勤務を組み合わせたハイブリッドワークになると、働く場の選択肢はさらに増える。
場所を有効活用して働くコツを体得している人とは
様々な場所を有効に活用して働くポイントは、営業部門のビジネスパーソンに学ぶとよい。新型コロナウイルス禍以前から、出社勤務に加えて、モバイルワークなどにも慣れている場合が多いからだ。ハイブリッドワークを実践してきた人たちともいえる。
このような営業部門のビジネスパーソンの1人がオフィス家具大手、イトーキの営業本部東京支社第2支店販売2チームに所属する乙部宏樹氏だ。イトーキは2017年から専門組織を立ち上げて、社内で働き方変革を進めてきた。コロナ禍下では在宅勤務を中心としたテレワークも普及。多くの社員がテレワークを実践している。
乙部氏は営業活動のため外出機会が多いことから、出社勤務や在宅勤務の他、モバイルワークにも取り組んでいる。乙部氏が実践するコロナ禍下での働き方の特徴は、外出・出社・在宅の勤務形態それぞれにふさわしい仕事を見極めたうえで取り組んでいる点だ。「効率良く仕事を進められる」と乙部氏は効果を語る。
日ごとに外出・出社・在宅を切り替え、仕事を「固める」
乙部氏は外出する日、出社する日、在宅勤務をする日といったように日ごとに勤務形態を切り替えている。そのうえで「在宅勤務の日は提案書の作成など集中する必要がある作業やWeb会議にメインで取り組む」など、勤務形態に合わせた作業を見極めて取り組んでいる。集中が必要な作業は、出社勤務よりも在宅勤務のほうが向くという。在宅勤務時に個室でWeb会議ができれば、出社勤務時に起こりがちな「周囲に気兼ねなく話せる場所を探して確保する」といった手間が省けて効率的だ。
外出する日についても「複数の顧客を訪問する」など取り組む仕事を固めている。「移動にはどうしても時間がかかる。移動が伴う仕事をまとめたり、出社して取り組む仕事をまとめたりすれば、移動の時間を減らせる」(乙部氏)からだ。
外出する日の中でも、さらに移動時間を省く工夫を凝らす。乙部氏は顧客訪問の合間、時間に余裕があれば訪問先から近いカフェなどでモバイルワークに取り組むようにしている。「メールのチェックや他部門への業務依頼など高い集中力が不要な作業をしている。訪問先から会社に戻らなくても仕事を進められる」と乙部氏は説明する。カフェ利用の際の経費は会社負担、会社で契約しているコワーキングスペースも利用可能なので、モバイルワークに取り組みやすいという。こうした会社の支援もモバイルワークの促進につながりそうだ。