テレワークによって仕事の生産性が下がったと感じる人が、いまだ全体の45%以上――。最新の調査でこのような実態が判明した。ビジネスパーソンの働き方についての実情を探る特集の2回目は、在宅勤務と生産性の関係などに迫る。
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施している。2022年4月の最新調査で2022年2~3月におけるまん延防止等重点措置の最中と、3月の解除後について、テレワークの実施状況などを聞いた。
まずは2~3月(重点措置の最中)の結果を取り上げる。「テレワークによる業務の生産性は、職場(派遣・常駐先を含む)で仕事に取り組む場合を100とした場合、どれくらいですか」と尋ねたところ、「100超」つまり生産性が上がったと答えた人の割合は21.2%だった。一方で「100未満」(下がった)と答えた人の割合は46.4%と4割を超えた。
生産性「下がった」人は「上がった」人の2倍以上
重点措置が全面解除された3月以降について聞いた結果も、ほぼ同様だった。具体的には「100超」(上がった)と答えた人は20.8%、「100未満」(下がった)と答えた人が46.2%だった。
生産性が「上がった」と感じる人の2倍以上が、「下がった」と悩んでいる今の状態は、正しい姿とは言えないだろう。
過去の調査結果を遡ってみる。2020年4月に最初の緊急事態宣言が発出された直後は、テレワークによって生産性が下がったと答えた人の割合は6割を超えた。宣言解除後の2020年10月時点では5割以下まで改善するも、2021年3~4月には5割超へと悪化。その後はやや持ち直したが、45%前後で「低空飛行」が続く。
新型コロナウイルスの感染症が広がった2020年春以降、テレワークによって生産性が下がった人の割合が4割を切ったことは一度も無い。目の前に立ちはだかる、厚い「4割の壁」をどう乗り越えて働き方改革を成し遂げるか。企業の創意工夫が改めて問われる。