今回はiPhoneで通信・通話ができない、通信が遅いといったトラブルのうち、モバイル回線が原因となるものを取り上げる。
お昼休みや通勤時間帯に通信が遅くなる
お昼休みや通勤時間帯になると、iPhoneの通信が遅くなる。これはMVNO特有の事象といえる。「MVNOはキャリアから回線を分岐してもらっており、接続料を支払う必要があるため、帯域には上限がある」(インターネットイニシアティブ MVNO事業部事業統括部 シニアエンジニアの堂前 清隆氏)。MVNOは低廉な料金を実現するためにはむやみに帯域を増やすわけにはいかない。このため、お昼休みなど多くのユーザーが利用して混雑する時間帯では、どうしてもキャリアに比べると遅くなってしまう。
ただ、最近ではキャリアとの相互接続回線を増やして混雑をなるべく解消するように努めており、「以前に比べると、クレームも減ってきている」(堂前氏)という。
APNを正しく設定していない
MVNO(仮想移動体通信事業者)のインターネットイニシアティブ(IIJ)によると、iPhoneで通信できない理由としてよくあるのが、APN(Access Point Name)を正しく設定していないというもの。APNとは、携帯電話ネットワークとプロバイダーのIPネットワークをつなぐパケット交換機(P-GW)を指定する識別子のこと。これを正しく設定しないとインターネットで通信できない。
APNの設定については、特にeSIMを利用する場合にうまく設定できないユーザーが多いという。「eSIMでAPNを設定する際、QRコードを読み込む必要がある。これは従来の物理SIMにはないところで、これをうまくできないお客さんがいる」(IIJ MVNO事業部 コンシューマサービス部 カスタマーサービス課 主任の吉橋 茂氏)。
また、QRコードを読み込んだ後にもいくつか作業が必要となる。QRコードをiPhoneのカメラで撮影しただけで、通信できないと問い合わせをしてくるユーザーもいるという。