笛吹けど踊らぬ次世代通信規格「5G」。実は、工場のように限定された範囲で独自にネットワークを組める「ローカル5G」こそ、大容量・高速伝送や低遅延といった5Gの力を生かせるとの見方がある。ただし、独自にネットワークを組む手間・コストがかかるのも事実だ。企業の実証試験の実例などを基に、ローカル5Gの実力と課題を探る。

工場こそローカル5G
目次
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「自作パソコン感覚で基地局を」多様なアイデアが5Gのビジネスを生む
東京大学大学院工学系研究科・教授中尾彰宏に聞く(後編)
東京大学大学院工学系研究科教授の中尾彰宏氏は、5G(第5世代移動通信システム)の通信ネットワークを民間企業などが独自に構築できる「ローカル5G」の普及に腐心する。自作パソコン感覚でインフラを組み立て、汎用ハードウエア上のソフトウエアやカスタム可能なハードウエアで情報通信の機器を構築できる「ソフトウ…
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「ローカル5Gという制度は画期的」、目指すは情報通信の“民主化”
東京大学大学院工学系研究科・教授中尾彰宏に聞く(前編)
東京大学大学院工学系研究科・教授の中尾彰宏氏は、5G(第5世代移動通信システム)の通信ネットワークを民間企業などが独自に構築できる「ローカル5G」の普及に腐心する。目指すは一般企業なども一丸となって技術を発展させる情報通信の「民主化」だ。
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ガスホルダーでローカル5Gの電波が遮断、使い分けで適材適所探る日本製鉄
「4K(3840×2160画素)で撮影した高精細映像のデータを5Gで送信しパソコンのディスプレーに表示されるまで、0.6秒程度の低遅延だと確認した。30fps程度のフレームレートで伝送できた」。日本製鉄は、2022年1月から同社室蘭製鉄所において日鉄ソリューションズと共同で、ローカル5Gによる通信…
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「ローカル5G一強」ではない製造現場の無線化、用途別にすみ分け進む
「今までのローカル5GはほとんどPoCだったが、今年から本格的に展開するだろう」――。製造業界でローカル5Gの実用化を期待する声が高まっている。一方で、過去1~2年間に盛んに実施された実証実験からローカル5Gが万能ではないことも明らかになってきた。工場などでは用途ごとに無線技術を使い分ける取り組み…
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日清紡がテストコースにローカル5G、10GBの試験データも即共有
日清紡ホールディングス傘下の日清紡ブレーキ(東京・中央)は2022年4月、自動車ブレーキに使う摩擦材の性能を試験する旭テストコース(千葉県旭市)にローカル5G(第5世代移動通信システム)を導入し、運用を開始した。実車を使った試験結果をローカル5G経由でサーバーへ送り、すぐに館林事業所(群馬県邑楽町…
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日立がローカル5Gの有効性を確認、安定通信に必要なアセスメント
日立製作所は、同社中央研究所にある「協創の森」にローカル5Gの通信環境を構築して、その有効性を確認。ローカル5Gを活用した新技術の開発などに取り組んでいる。実証実験では、ローカル5Gの通信ネットワークを活用すると、製造現場の業務を効率化できることを示す結果が出た。ただし、ローカル5Gの有効活用には…
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オムロン草津工場、ローカル5Gで自動搬送ロボットの衝突防ぐ
オムロンは2022年度内をめどに、草津工場(滋賀県草津市)内を走る自動搬送ロボットの制御にローカル5G(第5世代移動通信システム)通信を適用する。従来使用していた無線LAN(Wi-Fi)は通信が不安定で、ロボット同士が衝突する場合があった。ローカル5Gに切り替えることでロボットの位置を正確に制御で…