前回(第3回)は、2022年に日経BPとPwCコンサルティング(東京・千代田)が連携して実施した「第2回 開発マネジメント実態調査」の結果を紹介しました。この調査から、開発マネジメント水準の高度化により、企業の業績向上や製品のQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)に関する問題の改善を図れることが明らかになりました。
その結果を踏まえて、今回は開発マネジメント水準を高度化させるために取り組むべき15の改革テーマについて概要を解説します。部品メーカーが開発イノベーションを進めるに当たって検討すべき内容は多岐にわたりますが、筆者らの経験から今回紹介する15個が代表的なテーマだと考えています。
開発マネジメントフレームワーク
15の改革テーマの解説に入る前に、まずは開発マネジメント実態調査の骨組みとなっている開発マネジメントフレームワークを再確認します(図1)。開発マネジメントフレームワークの詳細については、本連載の第2回をご覧ください。
次に、15の改革テーマの概要を説明します。この15テーマへの取り組みにより、開発マネジメント水準(開発マネジメントフレームワークの各視点の水準)が高度化され、開発イノベーションが進み、QCD問題の改善や業績向上に結び付いていくと考えています。
開発イノベーションを実現する15の改革テーマ
開発イノベーションを実現する15の改革テーマは以下の通りです。
- 未来の洞察・創造
- 戦略の明確化・具体化
- テーマの取捨選択
- 外部連携・M&A強化
- 技術開発・蓄積
- 製品モジュール整備
- 原価企画→利益企画
- 事前型プロセス構築
- 組織構造の最適化
- 組織風土の活性化
- プロジェクト(PJ)管理の高度化
- 機能別組織の高度化
- 技術者のスキル強化
- 海外拠点の高度化
- デジタル/ツール強化
開発マネジメントの視点と15の改革テーマの関係性
この15の改革テーマと、開発マネジメントフレームワークの各項目の関係を整理しておきます。どの改革テーマに取り組むと、主にどのマネジメント項目の高度化に寄与しやすいかを表したのが表です。
冒頭で触れた開発マネジメント実態調査からは、業績向上を図る上で「製品・サービス戦略」の高度化に注力すべきだという結果が出ています。特に部品メーカーの場合、この項目の水準が他業種と比較して低い結果にあります。業績向上に向けて、「製品・サービス戦略」の列に〇が付いている改革テーマに重点的に取り組んでいくことをお勧めします。