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 建設工事における自動化施工の技術開発を加速するため、国や関連機関が基準整備を急いでいる。国土交通省は2022年3月14日に「建設機械施工の自動化・自律化協議会」を設立。6月中に当面の活動内容を決定する予定だ。土木研究所は22年度内に、重機の制御信号の共通ルールを実用化する会議体を設立し、民間企業に効率的な技術開発を促す。

 建設会社では大手を中心に大規模現場で自動化施工の試験導入が進んでいる。一方、安全確保や重機の制御信号に関する基準が整備されておらず、安全確保策を講じるのに手間がかかったり、建設会社とメーカーが個々に秘密保持契約を締結したりするといった非効率さが課題となっている。

建設会社は大手を中心に、大規模な工事現場で自動化施工の試験導入が進んでいる(写真:日経クロステック)
建設会社は大手を中心に、大規模な工事現場で自動化施工の試験導入が進んでいる(写真:日経クロステック)
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 国交省が設立した「建設機械施工の自動化・自律化協議会」は、安全基準や施工管理基準といった自動化施工に関連する基準整備を目的とする。「受注者に任せっきりでは限界がある。国交省が議論をリードしていく」。国交省総合政策局公共事業企画調整課の味田悟課長補佐は狙いをこう語る。

 22年度は、6月中に第2回の協議会を開いて当面の活動内容を決める。まずは安全基準について議論を進める予定。自動化施工による無人の現場は、現行の労働安全衛生法の対象外で、安全基準の未整備が自動化施工の技術開発を阻む壁となっているからだ。

国土交通省が2022年3月14日に設立した「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の実施体制。分野横断的な議論を進める(資料:国土交通省)
国土交通省が2022年3月14日に設立した「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の実施体制。分野横断的な議論を進める(資料:国土交通省)
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 これまで建設会社が自動化施工を導入する際には、各現場を管轄する労働基準監督署に採用すべき安全確保策を相談する必要があったが、前例のないケースでは対応に時間がかかっていた。安全基準を作成することで、手間の削減や時間の短縮につなげる。

 安全基準を議論するため、協議会には厚生労働省や建設業労働災害防止協会など労働分野の機関と団体も参加する。技術開発を担うロボットと施工分野では、経済産業省や新エネルギー・産業技術総合開発機構、日本建設業連合会などが参加する。

 今後は、同協議会の下に設置した①安全・基本設定ワーキンググループ(WG)②施工管理・検査基準WG③現場普及WGーーの3つのWGで具体的な議論を進めていく。

最初に安全基準を作成する無人現場のイメージ(資料:国土交通省)
最初に安全基準を作成する無人現場のイメージ(資料:国土交通省)
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 無人現場の安全基準がまとまり次第、無人重機と作業員が混在するような複雑な現場にも、基準の対象範囲を広げる予定だ。また、関連技術の開発に取り組む建機メーカーや建設会社、リース会社やアプリベンダーなどに向け、無人重機が人を検知した際の自動停止システムなど、自動化施工を導入した現場で最低限備えるべき安全確保機能を示す。

 様々な現場に適した自動化施工技術も検討する。最終的には、自動化施工技術の直轄工事への導入方法や導入に最適な入札方法をまとめる。