日本製鉄は、「人とくるまのテクノロジー展2022 YOKOHAMA」(2022年5月25~27日、パシフィコ横浜)に出展、同社が約1年前に発表していた電動車向け鉄鋼技術のコンセプト「NSafe-AutoConcept xEV(NSAC xEV)」や、少量生産の車種を想定した鉄鋼技術のコンセプト「NSafe-AutoFrameConcept(NSAFC)」などを披露した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、同社の同展での実物展示は3年ぶりとなる。
NSAC xEVが展示会場でアピールするのは、電動車における鋼材の可能性だ。近年では海外メーカーを中心として、電動車のボディーにアルミニウム合金を採用する事例が増えている。アルミ合金は鋼材と比べて軽量なため、いわゆる電費の向上が期待されている。
ただし同社によると、アルミ合金にはいくつか課題もある。まず、製造時の単位質量当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を比べると、アルミ合金は鋼材よりも5~6倍ほど多い。カーボンニュートラルの実現という観点から見れば、自動車のボディーに軽量なアルミ合金を多用することが、「必ずしも最適解であるとは限らない。CO2削減の観点で鉄の利用は環境に優しい」(同社)。
また、一般にアルミ合金は鋼材よりも高価だ。そのため、コスト削減の面では鋼材が有利となる。