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 古河電気工業は「人とくるまのテクノロジー展2022 YOKOHAMA」(2022年5月25~27日、パシフィコ横浜)に、同社グループの古河ASが開発した周波数が24GHz帯の準ミリ波レーダーを出展した(図1)。特徴は、前世代品から検知距離や水平検知角といった性能を高めながら、体積と重量を3割減らした点だ。マツダの新型SUV(多目的スポーツ車)「CX-60」に採用された。

図1 古河ASの準ミリ波レーダー
図1 古河ASの準ミリ波レーダー
周波数は透過性に優れる24GHz帯。寸法は120×66×20mmで、幅を前世代品の半分程度に抑えている。質量は120gである。(撮影:日経Automotive)
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 前世代品から部品点数を削減し、基板の実装面積を約半分に抑えることで、小型軽量化を実現した。CX-60には車両前後方の周辺監視用センサーとして採用され、バンパーの4隅に搭載する(図2)。前世代品はマツダの最量販SUV「CX-5」に採用されたが、後方監視の用途のみだった。

図2 マツダの「CX-60」における準ミリ波レーダーの搭載位置
図2 マツダの「CX-60」における準ミリ波レーダーの搭載位置
車両前後方のバンパーの4隅に搭載する。古河ASの同レーダーとは別で、前方監視用のミリ波レーダーをフロントグリルに搭載する。(画像:マツダ、古河電工)
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 検知距離は96mで、検知角は75°である。前世代品から検知距離を20m、水平検知角を15°向上させた。これにより、出合い頭や交差点の右左折時、車線変更時、停車時などに対応するという。

 このほか、誤検知や未検知を防ぐために、前世代品からアンテナの数を送信側は2個、受信側は4個に増やした。これにより、信号処理の量が増えたが、ICの演算能力を高めることで対応した。「ICは高性能にしたが、ミリ波レーダーとしてのコストは前世代品の同等以下に抑えている」(古河ASの担当者)という。