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 「2030年までに電動アクスル(eアクスル)の年間生産規模を500万台まで増やす」――。こうぶち上げたのは、ジヤトコで社長兼最高経営責任者(CEO)を務める佐藤朋由氏である。

 同社は2022年5月25日、「人とくるまのテクノロジー展2022」(22年5月25~27日、パシフィコ横浜)の会場で記者会見を開催。その壇上で佐藤氏が、電気自動車(EV)向けの電動アクスル市場へ2020年代半ばに参入し、「独自技術を生かした電動化製品を提供していく」(同氏)と意気込みを語った。記者会見の直後、会場で佐藤氏を直撃した。

ジヤトコ社長兼CEOの佐藤朋由氏
ジヤトコ社長兼CEOの佐藤朋由氏
人とくるまのテクノロジー展2022の会場で取材に応じた。(撮影:日経Automotive)
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具体的な数値目標に初めて言及した。

 勝算があるから宣言した。減速機とモーター、インバーターなどを一体化した電動アクスルという形で、2030年には年500万台供給できるように進めている。

ジヤトコは日産自動車が75%出資する子会社だ。日産車のすべてがEVになっても500万台の電動アクスルはさばけない。

 確かにそうだ。日産以外にも拡販できるように進めている。詳細は明かせないが、他の自動車メーカーへの供給を盛り込んだ数字が500万台ということだ。設備投資を進め、国内外で生産できる体制を整えたい。

 電動アクスルの第1弾製品は、2020年代半ばに量産を開始する予定だ。

電動アクスルを30年に年500万台へ
電動アクスルを30年に年500万台へ
記者会見で数値目標を明かした。(撮影:日経Automotive)
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電動アクスルを拡販していく方策を聞きたい。“ポン付け”(加工や調整をせずに取り付ける)する標準品を提供するだけでは事業の成長は難しそうだ。既存事業であるAT(自動変速機)やCVT(無段変速機)では自動車メーカーの懐に入り込んでいるが、電動アクスルでも同じ戦略が通じるか。

 電動アクスルではもう一段入り込む必要がある。だが、我々がこれまで蓄積してきた実績やノウハウがあるからこそ、さらに踏み込んでいける。当社はクルマごとにATやCVTの性能を引き出す作業を担ってきた。走りをコントロールし、エンジンや車体のECU(電子制御ユニット)などとバランスを合わせながら車両を仕上げてきた。電動アクスルもその派生だ。

 自動車メーカー自身はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)のうち、CとAとSに注力していくとみている。残るEは、できるだけ部品メーカーに任せたいのではないか。クルマの製造も、これまで自動車メーカーの領域だったところまで部品メーカーが担当するようになっていくだろう。

電動アクスルの売り先は既存の自動車メーカーに限らない。ソニーや米Apple(アップル)、台湾・鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)なども重要な顧客になり得る。

 新規参入組にも積極的にアプローチしている。丸ごと欲しいと言われることが多い。先ほど述べたように、任されても対応できるだけの経験値はある。