「NTTドコモが基地局を設置する鉄塔約6000本を売却」――。2022年3月末、そんな衝撃のニュースが業界を駆け巡った。携帯電話事業者にとって競争の源泉である基地局の設置場所(ロケーション)を手放すという、これまでの国内事業者の常識を覆す一手だ。ドコモの鉄塔約6000本を約1000億円で入手するのは、国内で設備共用ビジネスを手掛ける新興企業のJTOWER。ドコモの鉄塔6000基を元手に、複数事業者で鉄塔をシェアする設備共用(インフラシェアリング)ビジネスを国内で一気に広げる計画だ。国内で急速に動きだした「基地局トランスフォーメーション(変革)」の動向に迫る。

特集
基地局トランスフォーメーション
目次
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ドコモの鉄塔売却は好機、送電設備の東電PGや不動産の東急が虎視眈々
日本で基地局の設備共用(インフラシェアリング)の機運が高まる中、ビジネスチャンスを目指して異業種からの参入が相次いでいる。東京電力パワーグリッド(東電PG)や、住友商事と東急がタッグを組んだSharing Design、三菱地所などだ。これらのプレーヤーは自社で持つ鉄塔や電柱、不動産を設備共用に活…
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ソフトバンクが米国で見た現実、鉄塔所有企業の強大化に警戒
JTOWERは、設備の借り手となる通信事業者とも、強固な関係性を築く。2019年にNTTと資本提携したのを皮切りに、2021年にはKDDIと楽天モバイル、NTTドコモと立て続けに資本提携を結んだ。ここで気になるのが、国内携帯4社のうち、ソフトバンクだけ名前が見当たらない点だ。
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ドコモから1000億円で鉄塔取得、設備共用の先駆者「JTOWER」の勝算
「鉄塔6000本でとどまるつもりはない。海外のタワー会社は数万本という単位で鉄塔を保有する。中長期的にはそれくらいの規模を目指す」――。国内で設備共用(インフラシェアリング)ビジネスを手掛ける先駆者である、JTOWER社長の田中敦史氏はこのように力を込める。
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ドコモが基地局鉄塔6000本を1000億円で売却、もはやエリアは競争力の源泉ならず
「NTTドコモが基地局を設置する鉄塔約6000本を売却」――。2022年3月末、そんな衝撃のニュースが業界を駆け巡った。携帯電話事業者にとって競争の源泉である基地局の設置場所(ロケーション)を手放すという、これまでの国内事業者の常識を覆す一手だ。ドコモの鉄塔約6000本を約1000億円で入手するの…