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 通信インフラを複数の事業者で共有するインフラシェアリングには政府も注目し、促進を図っている。総務省が2022年3月29日に公表した「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」でもインフラシェアリングの推進を掲げた。今後は非通信の新規参入事業者が増えそうだ。

インフラシェアリングへの補助を強化

 総務省が2018年12月にガイドラインを公表して以来、政策としてインフラシェアリングを後押しする動きが目立ってきた。

インフラシェアリングにまつわる政府関連の主な動き
インフラシェアリングにまつわる政府関連の主な動き
(出所:日本総合研究所)
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 例えば将来の電波利用の課題や目標、その実現方策などを検討する総務省の「デジタル変革時代の電波政策懇談会」では、条件不利地域におけるインフラシェアリングの必要性に着目。インフラシェアリング事業者のニーズや課題などを確認したうえで、「共同整備の場合の補助スキームについても検討を進める必要がある」とした。さらに「携帯電話事業者とインフラシェアリング事業者の間におけるインフラシェアリングに係るルール整備に向けて検討を進める」と結論づけた。

 内閣官房の成長戦略会議やデジタル田園都市国家構想実現会議では、慶応義塾大学の竹中平蔵名誉教授が「5G(第5世代移動通信システム)共同基地局を政府主導によってつくり、これを通信事業者に使用させる。PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の手法を活用し、財政負担を軽減すべきではないか」と提言している。

 電波オークション制度の導入を検討している総務省の「新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会」でもインフラシェアリングの議論が出ている。東京工業大学の高田潤一教授は、条件不利地域への5G拡充や、高周波数帯のミリ波に対応した5G基地局の展開にはインフラシェアリングが非常に重要な役割を果たすと指摘する。

 総務省はデジタル田園都市国家インフラ整備計画で、「世界最高水準の5G環境の実現を目指す」とぶち上げた。具体的には、5G人口カバー率を2023年度末までに95%(5G基地局は28万局)、2025年度末までに97%(同30万局)、2030年度末までに99%(同60万局)との数値目標を示した。この実現に向けた施策の1つとしてインフラシェアリングの推進を掲げており、複数事業者による共同整備やインフラシェアリング事業者に対する補助を強化した。インフラシェアリングに関する技術開発も支援する。

 もっとも、同計画におけるインフラシェアリング関連の施策は2022年度までの取り組みが中心である。2023年度以降にどのような施策が検討・実施されるかが注目となる。

総務省はデジタル田園都市国家インフラ整備計画で、インフラシェアリングの推進を掲げた
総務省はデジタル田園都市国家インフラ整備計画で、インフラシェアリングの推進を掲げた
(出所:総務省)
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