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 日本経済の発展と様々な社会課題解決を目指した「Society 5.0」の実現に向けて欠かせない5G(第5世代移動通信システム)/Beyond 5G。政府は5G/Beyond 5Gの早期整備を後押しする施策を打ち出しているが、その予算規模は限定的だ。今後はインフラシェアリングが拡大していくとしても足元の規模感やスピード感では物足りないような状況である。

 特に危惧されるのは、地方部における5G/Beyond 5Gの整備だ。地方部は4G周波数の転用による5Gの実現が中心となるシナリオも想定され、インフラシェアリングの取り組みもさほど進まない可能性がある。地方部では5G本来のメリットを享受できない恐れが出てくる。こうした事態を避けるためにも、政府が積極的に関与するパターンを含め、コスト効率を踏まえた、よりよい普及策をしっかり検討すべきだと考える。

シェアリング拡大の3つのシナリオ

 インフラシェアリングは今後、どのような拡大シナリオが考えられるだろうか。

 現状は屋内での取り組みが中心であり、このまま官(政府/公共)・民(通信事業者)共に消極的な取り組みで終わるのが最悪のシナリオとなる(図1のⅠ)。

図1 インフラシェアリングの拡大シナリオ
図1 インフラシェアリングの拡大シナリオ
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 ただ都市部から少し離れたようなエリアにおいて、不動産開発会社や電力・鉄道などのインフラ事業者が持つアセットを活用し、例えば工場におけるIndustry 4.0の実現などにインフラシェアリングを活用することが想定される(図1のⅡ)。この場合、ある程度の産業的な利益が見込める。

 一方、地方部には自治体固有の課題や地域特有のニーズがあり、自治体保有のアセット(基地局の設置場所や光ファイバーなど)をインフラシェアリングに活用して5Gの整備を広げるパターンも考えられる(図1のⅣ)。もっとも現時点ではデジタル田園都市国家構想やスーパーシティ構想などにおいて5Gの積極的な活用を打ち出している自治体はそれほど多くないため、このパターンはそれほど大きくはならないと想定される。

 今後、5G/Beyond 5Gにより、自動運転のさらなる高度化、その先の「空飛ぶクルマ」、全国津々浦々どこでも受けられる遠隔医療などが現実味を帯びていくことになる。いずれのユースケースも、国民が「ユニバーサルサービス」としてその価値を広くあまねく享受すべきものだといえる。

 とはいえ、こうしたユースケースを実現するためのインフラを単一の事業者が営利事業として競争しながら投資を継続するのは難しい。そこで、例えば全国レベルで単一事業者が専用周波数を持ち、インフラシェアリング事業者としてサービスを提供することも考えられる(図1のⅢ)。この場合、事業の性質上、政府の積極的な関与による設立と運営が望ましい。政府がある程度主導してインフラシェアリングを推進し、5G普及に向けた基盤を整備。通信各社はその基盤を活用して5Gならではのユニバーサルサービスを展開する。