旭化成は、樹脂やセンサーなど計22種類の同社製品を使用した新たなコンセプトカー「AKXY2(アクシーツー)」を、「人とくるまのテクノロジー展2022」(2022年5月25日~27日、パシフィコ横浜)に出展した(図1)。17年に公開した「AKXY」、19年の「AKXY POD」に続く3台目。デザインはフォートマーレイ(京都市)が、製作はモディー(岩手県一関市)が手掛けた。旭化成の製品や技術を自動車メーカーに売り込むためのツールとなる。
AKXY2は、「サステナビリティー(持続可能なクルマづくり)」「サティスファクション(クルマの満足度向上)」「ソサエティー(社会とクルマのつながり)」をテーマとしており、同社の製品でそれら3テーマを具現化したという。例えば、サステナビリティーとしては、植物由来原料を一部使った樹脂で造ったカーマットやシート用クッション材を採用。サティスファクションでは、磁力で床に固定するシートを採用。好きな位置に動かして”模様替え”できるようにした(図2)。なお、車両には動力を搭載しておらず、走行はできない。
ドーム形状の屋根はポリカーボネート(PC)製で、同社が新たに開発した水系塗料でコーティングしている(図3)。新たな塗料は、PCの高い透明性を維持しつつ、傷が付きやすく目立ちやすいPCの欠点を補う。同社が実施した耐摩耗性を評価するテーバー試験*1の結果、ヘーズ値*2はガラスと同等の2%以下を示し、フロントガラスの耐摩耗性の規格を達成した(図4)。
新たな塗料のコーティングによって耐候性も増す。日射によって黄色に変色する経年劣化を抑えられる。日射を模した2800MJ/m2の光を照射し続ける試験では、4200時間の照射後に黄色味を示すb値を測定したところ、未塗装品でおよそ5.0だったb値の増加量が、塗装品は1.0程度だった(図5)。これは、「ほとんどの自動車メーカーが耐候性の基準とする2以下を満たす」(同社説明員)。新開発の塗料は、「25年の製品化を目指す」(同社説明員)。具体的な成分などは明かさない。