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 「高分子材料でトヨタグループをけん引する提案をしていく」──。豊田合成が、「サステナブルマテリアルカー(持続可能な材料のクルマ)」をキーワードに掲げ、樹脂のバイオ化を進めている。その要の材料はセルロースナノファイバー(CNF)だ。

図1 自動車のグラブボックス
図1 自動車のグラブボックス
CNFで強化したPPで成形した。(写真:日経クロステック)
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 CNFは、植物の主成分であるセルロースから抽出した繊維状の材料。直径が数~数十nm、長さが0.5~数μmの極めて細く短い繊維である。木材などを化学的、あるいは機械的に処理してセルロースを抽出し、細かくほぐして製造する。こうして得たCNFを、豊田合成は強化材として樹脂に含有させ、CNF強化樹脂を造る。そして、自動車の内外装部品に成形する考えだ。図1は、CNF強化樹脂で試作したグラブボックスである。

 同社がCNF強化樹脂に期待するのは、3つの点でカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)に貢献するとみるからだ。第1に、強度と剛性が向上する分、薄肉化や発泡成形化が可能になり、自動車部品を軽量化できる。豊田合成は従来品に比べて1~2割ほど軽くなると見込む。従って、クルマの走行時の二酸化炭素(CO2)排出量を減らせる。

 第2に、CNF強化樹脂は廃車後に再利用するに当たり、加熱して溶かしても強度が低下しにくい特徴を持つ。そのため、自動車部品としてリサイクルでき、バージン材だけで造る場合よりもCO2の排出量を抑えられる。そして第3に、植物由来であるため、焼却しても生育期間に吸収した分のCO2しか排出しない。

配合と混練技術で耐衝撃性をクリア

 ただし、CNFには樹脂と混ざりにくく、そのまま自動車部品を成形すると衝撃性に劣るという課題がある。流動性が低くて金型内を流れにくいため、成形も難しい。これらの課題を豊田合成は配合技術と混練技術で改善した。樹脂として採用したポリプロピレン(PP)にCNFとゴムなどを最適な割合で配合した上で、温度や圧力、スクリューの回転数などを調整して混練。CNFがPPに均一に分散するようにし、流動性(成形性)と耐衝撃性を高めた。

 こうして得たCNF強化樹脂をペレットにし、豊田合成は射出成形によってグラブボックスを成形した。CNFの含有割合は20質量%だ。「樹脂との配合比率や混ぜ方、添加剤、加工など」(同社)の技術やノウハウを生かして実用化を目指す。なお、CNFは外部から購入する。