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 トヨタ紡織は、一年草植物「ケナフ」の繊維とポリプロピレン(PP)繊維を絡ませた複合材に、熱膨張するマイクロカプセル(MC)を配合して造った自動車内装向け発泡材料を「人とくるまのテクノロジー展2022 YOKOHAMA」に出展した(図1)。発泡ケナフボードは、PPで出来た従来品と同等の剛性を保ちつつ、30~40%の軽量化を実現している。

 同社はその発泡材料の製造工程において、超音波を活用してボード内にMCを均一に分散させる乾式の含浸技術を開発。従来のMCを水に分散させた分散液をボードに吸収させる湿式含浸と比べて、脱水・乾燥工程が不要となり製造時のコスト削減や廃水レスを実現した。

図1 熱膨張性マイクロカプセル(MC)を配合した発泡性ケナフボードで造ったドアトリム
図1 熱膨張性マイクロカプセル(MC)を配合した発泡性ケナフボードで造ったドアトリム
2017年10月にトヨタ自動車の「LEXUS LS」に採用された。(写真:日経クロステック)
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 PP製の従来品をケナフボードに置き換えると、「製造から廃棄までのライフサイクルを通じて約37%の二酸化炭素(CO2)削減効果が見込める」(同社)という。これには、ケナフ生育時のCO2吸収や軽量化による燃費向上の効果などを含む。ケナフは半年で3~4mの高さになるほど成長が早く、針葉樹と比べて同期間に約7倍のCO2を吸収できる。

超音波を活用した新含浸法

 ケナフボードは、次のように造る。まず、ケナフから抽出した繊維とPP繊維を質量比1対1で重ね合わせて、針を何度も差し込み2つの繊維を絡ませる(ニードルパンチ)。すると、ケナフボードの前駆体となるマット状の不織布「ケナフマット」ができる(図2)。次に、この不織布にMCをふりかけ、超音波により振動を加えると、MCが不織布内部へ入り込む(図3)。

 その後、約200℃に加熱しながらプレスすると、PP繊維が融解して一体化することで、PPを母材、ケナフ繊維を充填剤(フィラー)とした繊維強化プラスチックのケナフボードができる。その際、MCが膨張して材料内部に空洞を造るので、材料の密度が低下する。MCを添加しないケナフボードの密度が約0.65g/cm3なのに対して、添加したものは約0.20g/cm3と3分の1以下になる。得られたケナフボードを任意の形状にプレス加工して最終製品に仕上げる。

図2 ケナフボードの原料と前駆体となるケナフマット
図2 ケナフボードの原料と前駆体となるケナフマット
左からケナフ繊維、PP繊維、2つの繊維をニードルパンチで絡ませて造ったケナフマット、ケナフマットを加熱しながらプレスして造ったケナフボード。写真のケナフボードはMC未添加のもの。(写真:日経クロステック)
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図3 乾式含浸技術のイメージ
図3 乾式含浸技術のイメージ
超音波により振動を加えると、MCが不織布内部へ入り込む。(出所:トヨタ紡織)
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