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 産業技術の展示会「HANNOVER MESSE 2022」(2022年5月30〜6月2日、ドイツ・ハノーバー)には、DMG森精機やヤマザキマザックといった「常連」の日本企業が出展していない。そんな中、機械要素部品メーカーのTHKはこれまでと同様に出展し、主力製品であるリニアガイドなど約150点を展示した。ドイツTHKでDirector Head of Sales Office Europeを務める樽本健太郎氏は出展の狙いについて、「リニアガイドのシェアが2割前後と言われる欧州市場で、さらなるシェア拡大を目指す」と語る(図1*1

図1 ドイツTHK Director Head of Sales Office Europeの樽本健太郎氏
図1 ドイツTHK Director Head of Sales Office Europeの樽本健太郎氏
(出所:日経クロステック)
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*1 樽本氏によると、「日本国内では7割程度、世界では5割程度」という。

 中でも樽本氏が欧州におけるシェア拡大の目玉として強調するのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するOMNIedge(オムニエッジ)による状態診断・予兆検知のシステムだ。

 OMNIedgeは、機械要素部品に取り付けたセンサーで収集したデータを解析して、その部品の状態診断や予兆検知を実現する、THK独自のシステム。リニアガイド用システム向けは2018年ごろから販売を開始しているが、その後、ボールねじやアクチュエーター用にも横展開している。

図2  デモンストレーション用のリニアガイド
図2  デモンストレーション用のリニアガイド
センサーを取り付け、OMNIedgeによって給油状況と劣化状況のデータを収集している。(出所:日経クロステック)
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 リニアガイドを例にとると、レール端部などに取り付けたセンサーで、リニアガイド内にある転がり軸受用ボール(以下、ボール)の転がり振動のデータを収集(図3)。この振動データを同社が独自に開発したアンプで増幅し、やはり独自開発のアルゴリズムを使って解析する。その結果、潤滑油の不足(給油状況)や、ボールの劣化状況を数値化してグラフで表示する(図4)。

図3 リニアガイドに取り付けたセンサー
図3 リニアガイドに取り付けたセンサー
指先で示されているのがセンサー。(出所:日経クロステック)
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図4  OMNIedgeで表示したリニアガイドの状況
図4  OMNIedgeで表示したリニアガイドの状況
4台のリニアガイドの給油状況(Lubrication)と劣化状況(Damage)を表示。ここではしきい値を「110」に設定。110を下回れば許容できる状況、110を上回れば許容できない状況と判断する。(OMNIedgeの画面を日経クロステックが撮影)
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図5 OMNIedgに使われるアンプ
図5 OMNIedgに使われるアンプ
(出所:日経クロステック)
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