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 フランスのスタートアップ企業HYCCOが、軽量で耐久性に優れた燃料電池用のセパレーターを開発した。プラスチックと炭素繊維の複合材でできており、重さは金属セパレーターの約半分。180℃の熱に耐えられ、金属と違って腐食しない。トラックや鉄道など重量級の乗り物向けの燃料電池を中心に採用を目指す。2022年末までに年産1万枚、2025年末には年産100万枚規模で生産する計画だ。産業技術の国際展示会「Hannover Messe 2022」(2022年5月30~6月2日、ドイツ・ハノーバー)で披露した。

HYCCOが造った燃料電池用セパレーター
HYCCOが造った燃料電池用セパレーター
(出所:日経クロステック)
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 燃料電池のセパレーターは各セルを仕切り,水素ガスや空気の流路を確保する役割を担う板状の部品。材料は大きく分けて、カーボン製、金属製、カーボンと樹脂の複合材がある。カーボン製は耐久性に優れるものの、厚みが必要で、重くなるのが難点。HYCCOで最高財務責任者(CFO)を務めるLudovic Barbes氏はカーボンセパレーターの質量について「燃料電池スタックの7割程度を占める」と話す。

 一方、金属製は強度があり、薄くできるため、軽くできるのが特徴という。燃料電池スタックに占める金属セパレーターの重さは「約5割とみられる」(Barbes氏)。ただし腐食しやすく、耐久性が課題となる。製品の寿命は「5000時間程度」(同氏)という。

 HYCCOが開発したセパレーターは、熱可塑性樹脂と炭素繊維の複合材を使う。詳細は明かさないものの独自技術で厚みを従来の複合材セパレーターの約10分の1の0.3mmに抑えた。「軽さと耐久性を両立できる」(Barbes氏)とする。質量は最新の0.1mm厚の金属セパレーターの約半分、従来の複合材セパレーターと比較すると約1割と軽い。寿命は2万時間以上を見込めるという。

厚みを0.3mmに抑え、金属セパレーターの約半分の重さを実現した
厚みを0.3mmに抑え、金属セパレーターの約半分の重さを実現した
(出所:日経クロステック)
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 価格は金属製のセパレーターと同等にできる見通し。現在はプレス生産しているものの、いずれはさらに生産性の高い連続生産できる方式に変えていくという。熱可塑性樹脂は熱を加えることで再び成形可能なため、使い終わったセパレーターをリサイクルする構想も描く。

 2022年末をめどにプロトタイプ品を年産1万枚生産する。2023年末までにはパイロットプラントを立ち上げて年産30万枚、25年には年産100万枚に生産を拡大する計画だ。欧州の燃料電池関連メーカーにする他、「トヨタなど日本の企業が興味を持ってくれたら是非販売したい」(Barbes氏)と話す。