米Microsoft(マイクロソフト)が川崎重工業と連携し、仮想空間上でデジタルツインとメタバース(仮想空間)を活用して、複数の拠点にいる関係者の共同作業を実現できる技術を開発中だ。両社はこれを「インダストリアルメタバース」と称して、世界最大級の産業技術の展示会「HANNOVER MESSE 2022」(2022年5月30日~6月2日、ドイツ・ハノーバー)に参考出展した(図1、2)。
デジタルツインでは、現実世界の情報を収集して、双子(ツイン)のように現実と同じものを仮想空間に再現・構築してシミュレーションする。IoT(Internet of Things)技術などを駆使して、現実世界の機器や設備の状態を仮想空間のモデルに即時に反映させることで、高精度な予知保全や、効果的な設計変更が期待できる。
開発中のインダストリアルメタバースでは、このデジタルツインをマイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」上に構築する。異なる場所にいる人が、通信会議システムを用いて仮想空間を共有できる「Mesh for Microsoft Teams」のサービスを併用。Mesh for Microsoft Teamsのユーザーが、Azure上に構築したデジタルツインを使って共同作業ができるようにする(図3)。
各ユーザーは仮想空間にアバター(仮想空間上の分身)を使って参加し、アバターの視点で仮想空間上のデジタルツインを観察・操作する。このデジタルツインを用いて、遠隔地にいる複数の関係者が通信ネットワークを介して協業するのがインダストリアルメタバースの狙いだ。
通信会議システムだけでは困難だった、「現物」を見たり触ったりしながらの設計検討を実現できるわけだ。デジタルツインを活用するので、精度の高い検討が可能になるとしている。検討結果を円滑に現物に反映できるメリットもある。