全27ホール中、3ホールを「エネルギー技術ソリューション」に充てた「Hannover Messe 2022」(2022年5月30日~6月2日、ドイツ・ハノーバー)。中でも目立ったのが「水素」だ。会場内には燃料電池車はもちろん、水素を燃料とするプロペラ飛行機まで展示。「脱化石燃料」「再生可能エネルギー活用」という動きの中で、ハノーバーメッセでは特に水素がクローズアップされている印象を強く受けた。
太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー活用のコンサルティングや発電モジュール製造などを手掛けるドイツGP JOULE(GPジュール)も、展示で前面に打ち出していたのは水素活用だった。展示では、同社が計画全体の運営に関わっている、ドイツ最大の水素活用を促す団体「eFarm」の実験的プロジェクトを紹介していた(図1)。
風力発電や地域との連携で100%グリーン水素活用を実現
eFarmはドイツ北部に位置するシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州ノースフリジア地区に、燃料電池を動力とする公共バスや民間人の利用する燃料電池車に水素を充填するステーション(以下、水素ステーション)を設置している。2020年12月から運用を開始。2台の公共バスと、35台の燃料電池車がこの水素ステーションを活用しているという(図2)。
特徴は、水素の製造に風力発電による電気を利用している点だ。風力発電所の近隣に設けた5カ所の電解槽で水素を製造。移動式貯蔵コンテナをトラックに載せて2カ所の水素ステーションまで輸送する。電解槽で水素を製造する際に発生する排熱は、近隣地域での暖房に利用する。