世界最大級の産業技術展示会「HANNOVER MESSE 2022」(2022年5月30日~6月2日、ドイツ・ハノーバー)におけるドイツFesto(フエスト)のブースで、ひときわ目立つ展示があった。人の背丈を優に超えるほど大きく、展示物の中央が緑色に光り、上部は逆さにした傘のように広がっている。これは藻類を用いて効率よく二酸化炭素(CO2)を吸収するためのバイオリアクターだ。
「PhotoBionicCell」という名のこのバイオリアクターは、研究プロジェクトの一環で造った。Festoによると、藻類は効率的に光合成を行うため、木やトウモロコシなど一般的な陸上植物と比較して10倍以上のCO2を吸収する。さらにバイオリアクターを使うと、吸収効率を同100倍まで高めることが可能だという。
PhotoBionicCellの仕組みはこうだ。まず装置中央の培養器から藻類を含んだ液体をポンプで上方に送る。上部にはチューブが幾つもに枝分かれし、放射状に広がったパーツがある。液体はそれぞれのチューブに均等に流れ込み、効率的に太陽光を吸収して光合成をし、培養器に戻ってくる。