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 「HANNOVER MESSE 2022」(2022年5月30日~6月2日、ドイツ・ハノーバー)で特に多かったのが水素関連の展示だ。展示会場として使用していた10会場のうちの1つであるホール13には、「水素+燃料電池」と書かれた大きなオレンジ色の垂れ幕がいくつも掲げられ、水素市場での拡大を狙う企業が集結した。

 その中で道行く来場者の目を引いていたのが、水素を運搬するための巨大な水素タンクだ。欧州を中心に急増する水素関連需要を背景に、過去数年間の販売量が毎年2倍に伸びている企業もある。

ホール13の様子
ホール13の様子
「水素+燃料電池」と書かれた垂れ幕が掲げられ、水素関連の展示が集結した。(写真:ドイツメッセ)
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 ノルウェーのHexagon Purusは展示ブースに直径約60cm、長さ約2.5mの黒光りする水素タンクを展示した。同社が売り込むのは「タイプ4」と呼ばれる高圧水素タンク。タイプ4は、ポリエチレン(PE)やポリアミド(PA)でできた樹脂容器の外側に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を巻き付けて強度を高めている。展示した大きなタンクは水素の製造場所から水素ステーションや水素を利用する工場までの運搬、水素の貯蔵などに使われている。

Hexagon Purusが展示した水素タンク
Hexagon Purusが展示した水素タンク
(写真:日経クロステック)
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 タンクのタイプ区分は国際標準化機構(ISO)などが定めている。タイプ1は低合金鋼の容器、タイプ2は低合金鋼の容器にCFRPを巻き付けたもの、タイプ3はアルミニウム合金製容器にCFRPを巻き付けたものだ。

 タイプ4の水素タンクの強みの1つは軽さ。Hexagon Purusの担当者によると「タイプ4の質量はタイプ1の25%程度しかない」。水素タンクを運ぶトラックなどは最大積載量が決まっているため、「容器が軽くなると一度に3~4倍の水素を運搬できる」(同担当者)。オペレーションコストを低く抑えられる。

タイプ4の容器の断面
タイプ4の容器の断面
白い樹脂層の周囲にCFRPの層がある。プラスチックが主体のため、金属製と異なり腐食しない。炭素繊維は東レや帝人など日本メーカーの製品も多く使用しているという。(写真:日経クロステック)
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 同社は前身となる企業の活動を含めると50年以上圧力容器の製造に携わっており「水素タンクのパイオニア」(同社担当者)を自負する。運搬や貯蔵目的の水素タンクだけでなく、燃料電池車(FCV)や鉄道の燃料向けの水素タンクなども手掛ける。

 現在販売するタイプ4の水素タンクは実は10年以上前から提供している製品。特に目新しさはないが「過去2~3年で社会環境が変わり急激に重要が伸びた」と担当者はうれしそうに語る。最近は需要に生産が追い付かない状況だ。特に欧州向けの販売が多く、米国や韓国、オーストラリアがそのあとに続くという。