ギアやギアモーターを手掛けるドイツSEW-EURODRIVE(SEW-オイロドライブ)は大学などと共同で、住宅地における「ラストワンマイル」で荷物を運搬する自動搬送ロボット(AGV)を開発した。電動で、屋外の歩道を走行する。車載のセンサーや5G(第5世代移動通信システム)通信により、通行人などを避けて走れる。世界最大級の産業技術の国際展示会「HANNOVER MESSE 2022」(2022年5月30日~6月2日、ドイツ・ハノーバー)で展示した。
同AGVは都市部における貨物輸送を環境配慮型にする目的で欧州連合(EU)が資金提供するプロジェクト「efeuCampus」の一環として開発した。近年、eコマースの普及などで住宅街を出入りするトラックが増え、騒音、渋滞、安全性、二酸化炭素(CO2)排出量の増加などが問題視されている。同AGVの導入によりそうした問題の解消を目指す。
開発したAGVは搬送用の台車の上に荷物の保管箱を連結した構造となっている。台車の大きさは長さ60×幅40×高さ32cmで質量は約170kg。最大可搬質量は100kg。走行速度は最速1.6m/sで位置決め精度は±5cm。屋外の凹凸がある道路でも走行できるように専用のシャシーを開発したという。車両はチタン酸リチウム2次電池で動いており、電磁誘導方式によるワイヤレス充電が可能だ。
車体には複数のセンサーを搭載した。中でもステレオカメラは周囲の環境を3次元的に把握するのに役立っている。ステレオカメラからのデータを人工知能(AI)で分析し、近くの物体が何かを判別している。人だと判断した場合は走行速度を落として安全性を確保する。車両と制御システム間の通信には5Gを利用しており、周囲の環境の変化に素早く対応できる。