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 2022年6月6日(米国時間)に米Apple(アップル)が開催した開発者会議「WWDC22」の基調講演ではいくつかの新発表があった。本稿では「macOS」並びに「Apple Silicon」の第2世代となる「M2」と、筆者が主にカバーしている「Apple Pay」「Apple Wallet」のトピックに注目したい。

M1とM2のダイ
M1とM2のダイ
(出所:アップル)
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新プロセッサー「M2」の隠し機能に期待

 まずは「Apple Silicon」と「macOS」に触れたい。M1 Pro/Maxのビジネスモデル、そしてM1 Ultraの技術的特徴については過去の記事で触れているが、今回新たに「M2」が発表された。基本的には「M1」と同じ5nmの製造プロセスを用いたもので、トランジスター数が前モデルの160億個から200億個に増えている。

 プロセスルールに変更がない状態でトランジスター数が増えているということは、それだけダイ単体の面積も増加しているわけで、本来であれば歩留まりが悪化して価格も上昇する。ただ、1年半の時を経て製造プロセス(TSMCとみられる)に改良が加えられ、歩留まり自体も以前に比べ向上し、このあたりの問題がクリアできるようになったと考えていいだろう。これが今回トランジスター数が増加した背景だ。

 トランジスター数が増加すると、それだけ多くの機能を盛り込めるようになる。プロセッサーコアを改良して高速動作を可能にするもよし、新たにデコーダーやエンコーダーを搭載してマルチメディア性能を引き上げるもよしと、全体にパフォーマンスを向上させられる。ただ、採算性の面から増やせるトランジスター数には限界があり、SoC内でそれぞれの機能パートがトランジスターを取り合う形となる。結局はバランスが重要で、限られた性能向上をM1に対してM2がどう引き上げたのかがポイントとなる。

 では実際にはどうか。結論からいえば、性能向上はCPUよりもGPUに割り振られた部分が大きく、Unified Memoryの拡張も合わせ、M2ではマルチメディア方面の性能を主に引き上げたようだ。CPU部分はキャッシュメモリーの増加なども含めある程度の強化がみられるものの、Apple側が出している資料を見る限りではGPU側の性能向上のほうが大きい。