デジタル技術を活用して事業や組織、業務を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)。経済産業省と東京証券取引所、情報処理推進機構(IPA)は2022年6月7日、DXによって新たな成長や競争力強化につなげている企業33社を「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄2022」として発表した。今やDXの取り組みを全社レベルで推進する企業は少なくない。それにはどんな壁があり、どのような取り組みが必要か。DX銘柄の選定企業の事例を通して、成功のポイントを探る。

「DX銘柄2022」先行事例
目次
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全社DXを進めるAGC、ビジネスプロセスをデジタルでつないだ3つの「チェーン」とは
AGCはDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としてサプライチェーン、バックオフィスのチェーンと並ぶ3つめのチェーンの構築に力を入れている。それはマーケティングや研究開発、設計、生産技術などものづくりの上流工程のプロセスをつなぐものだ。
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4フェーズに分け全社DXを進める味の素、縦割り組織にどう横串を通すのか
味の素はASV(Ajinomoto Group Shared Value)というビジョンを掲げDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。ビジョンを浸透させる人材育成の一環として初級、中級、上級からなる研修コースを用意した。
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ENEOSが2040年までの変革ビジョン、DXをドライブする両輪とは
ENEOSホールディングスは2040年までのグループ長期ビジョンを掲げ、2つの軸でDXに取り組んでいる。1つが2025年までに既存事業の最適化を目指す「ENEOS-DX Core」で、もう1つが2030年までに新規のビジネスや顧客基盤の創出を目指す「ENEOS-DX Next」だ。
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アプリを年30回更新するみんなの銀行、複数のプロジェクトをどう進めているのか
デジタル専業銀行のみんなの銀行はシステムの頻繁な改変が可能なマイクロサービスアーキテクチャーを銀行システムに採用しており、「ユーザーの声を基に年間で30回ほどアプリをアップデートしている」と永吉健一頭取は話す。
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IHIの社内AIコンテストに400人超が応募、どうやって参加者を増やしたか
IHIはDX(デジタルトランスフォーメーション)の全社推進施策の1つとして「AIコンテスト」を開催している。2021年からこれまで4回にわたり開催。延べ434人が応募し、優秀賞として56件を表彰した。どうやって参加者を増やしたのか。
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若手を先端ITのベンダーに出向させる日本瓦斯、なぜ戻らないリスク覚悟で送り込むのか
全社でDX(デジタル変革)を進める日本瓦斯は若手を先端ITのベンダーに1年間出向させる制度を設けている。出向を終えた若手が他社に転職してしまうリスクを覚悟しているという。そんなリスクを負ってまで出向させる狙いは何か。
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全社DXを進める中外製薬、事業本部ごとにリーダーを1人に絞った理由
中外製薬のDX(デジタル変革)で特徴的なのは、DXを通じて目指す姿である「ビジョン」を、全社レベルだけでなく事業本部ごとに策定している点だ。一般に全社レベルのビジョンを示しても、社員一人ひとりが自分のこととして捉えにくい面がある。このギャップを埋めるのが、事業本部ごとのビジョンだ。
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ノーコードでアプリ内製進めるLIXIL、2万個超えでも「野良」を生まない仕組み
LIXILはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するため、米Google(グーグル)のノーコード開発ツール「AppSheet」を採用した。2022年7月29日時点で、2万個を超えるアプリを内製し、このうち839個を本番運用している。
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33社選定の「DX銘柄2022」、関係者を巻き込む共通の取り組みとは
経済産業省、東京証券取引所、情報処理推進機構(IPA)は2022年6月7日、日本におけるDX(デジタル変革)の先進企業と位置づけられる「DX銘柄2022」を発表した。初選出は味の素やLIXIL、リコー、アシックス、日立物流など11社。中外製薬と日本瓦斯の2社が「DXグランプリ」に選ばれた。