3年ぶりのリアル開催となったディスプレー技術の祭典「SID Display Week 2022」では、次世代ディスプレーの技術開発に新たな方向性が見えてきた。これまでは、液晶ディスプレーから有機EL(OLED)ディスプレーを経て、マイクロLEDディスプレーへといった流れが固まりつつあったが、そこにマイクロLEDとOLED、そして量子ドットが融合した新技術が割り込んできた。色域の広さ、輝度やコントラストの高さに優れ、超小型化や大型化、フレキシブル化も容易で、それでいて低コストで製造できるというほとんど欠点や弱点のないディスプレー技術である。

連載
完全無欠の真ディスプレー、3技術融合で新生
目次
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量子ドット×有機EL×マイクロLED=完全無欠、シャープとBOEが開発で抜け出す
Display Week 2022では、発光色に優れる量子ドットと印刷技術で造れる有機ELを組み合わせたディスプレーをマイクロLEDのフォトリソグラフィーで製造する究極の次世代技術も登場した。広色域、高輝度、低コスト、それでいて超高精細とほぼ完全無欠。開発はシャープとBOEがしのぎを削る。
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有機EL×マイクロLED=超高精細でも低コスト、日本の企業が開発をリード
AR/VR向けの超高精細有機ELディスプレーを、マイクロLEDディスプレーの製造プロセスで作製する新技術が登場してきた。従来のFMM(ファインメタルマスク)における微細化と大型化についての2つの限界を大きく超えられるメリットがある。開発をけん引するのは富士フイルムやジャパンディスプレイ(JDI)、…
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量子ドット×有機EL=広色域で低コスト、Samsungら世界大手が本命視
製造コストの高さからマイクロLEDディスプレーの普及は不透明。現実解として特に中型以上のディスプレー向けで、新しい技術「QD-EL」が登場してきた。素子構成はほぼ有機ELでインクジェット印刷法で低コストに製造できるが、発光は量子ドット(QD)が担い、色域の広さや輝度に優れる。開発は中国BOE Te…
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ゲーム用ディスプレーは500Hz駆動に、3Dディスプレーに再びブームか
高速に動く映像を表示することが多いゲーム用ディスプレーはフレーム周波数(リフレッシュレート)の高速化競争になっている。市販のものでも既に360Hz品などがあるが、今回のSID Display Week 2022では500Hz超のディスプレーが複数種類登場した。
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Display Week 2022で見えたディスプレーの最前線、超薄型OLEDで斬新端末
SID Display Week 2022の展示会では、直近のディスプレー業界の動きがよく分かった。マイクロLEDディスプレーが高コストでも使ってくれる用途を模索していたり、OLEDディスプレーが0.1mm厚以下という薄さを生かして斬新な端末の開発につながっていたりする。