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 建築基準法施行令に規定されている必要壁量を増やす見直しについての議論が進んでいる。省エネ住宅の建物重量は一般に、従来の住宅より重くなる。耐力壁を増やし、耐震性や耐風性を高めるのが狙いだ。今回は「必要壁量の見直し」についてのアンケート結果を報告する。

 アンケートでは、必要壁量の見直しが仕事に与える影響について尋ねた。大きな影響があるが26.1%、多少は影響があるが44.1%で、ほぼ7割の回答者が影響があると答えた。ほとんど影響はないは27.2%だった。

建築基準法施行令に規定されている必要壁量の見直しについて、仕事への影響を尋ねた。何らかの影響があると考える回答者が7割を超えた(資料:アンケートを基に日経アーキテクチュアが作成)
建築基準法施行令に規定されている必要壁量の見直しについて、仕事への影響を尋ねた。何らかの影響があると考える回答者が7割を超えた(資料:アンケートを基に日経アーキテクチュアが作成)
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 次に、必要壁量の見直しについて賛否を尋ねた。「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合わせた賛成派は69.7%で、7割に迫る。

建築基準法施行令に規定されている必要壁量の見直しについて、賛否を尋ねた。賛成派は7割に迫る(資料:アンケートを基に日経アーキテクチュアが作成)
建築基準法施行令に規定されている必要壁量の見直しについて、賛否を尋ねた。賛成派は7割に迫る(資料:アンケートを基に日経アーキテクチュアが作成)
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 賛否の理由を自由意見で記入してもらった。賛成については、「住宅の重さは、省エネ法の改正により太陽光発電パネルなどを設置することで重くなる」(50代男性、設計事務所)や「屋根上の太陽光発電パネル、厚く重い断熱材、床の遮音材など、現行の壁量計算では重量オーバーなものが多い」(40代男性、設計事務所)、「現在の高断熱住宅の重量化や太陽光発電パネルの設置位置による偏心増大などを考慮していないことへの対策が急務」など、見直しの趣旨に賛同する意見が多かった。

 また、耐震性が高まることを評価する意見も複数あった。「耐震性が向上するので良い」(60歳以上男性、総合建設会社)や「木造住宅の耐震性の向上につながる」(50代男性、設計事務所)などだ。

 この他、基準が長期間見直されていないことを指摘する声もあった。「1981年当時の住宅の荷重から導いた壁量計算の基準を、40年以上たった今も使うのはおかしなこと。一刻も早く見直してほしい」(50代男性、設計事務所)や「1981年ごろの壁量で、現在も運用されていること自体が問題」(50代男性、設計事務所)などである。