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統計的ではない手法のAI

 現在主流になっている機械学習は、より厳密に言うと、統計学を応用した「統計的機械学習」です。この特集も統計的機械学習の解説がメインテーマですが、「統計的ではない機械学習」と、「機械学習ではなく統計的でもないAI」のことも知っておきましょう。

 統計的ではない機械学習の代表には、「強化学習」があります。強化学習は、試行錯誤を通して評価(報酬)を得られる行動や選択を学習する手法です。脳の学習メカニズムをモデルにしています。自動運転や対戦型のゲーム、二足歩行ロボットなどのAIで応用されています。

 強化学習は統計的機械学習と全く無関係というわけではありません。深層学習と強化学習を組み合わせた「深層強化学習」は非常に強力な手法として知られています。例えば、プロ棋士を破った囲碁AIとして有名な「AlphaGo」(アルファ碁)は深層強化学習の手法を使っています。

 機械学習ではなく統計的でもないAIとしては、「ルールベースAI」や「遺伝的アルゴリズムによるAI」などがあります。

 ルールベースAIは、事前に人間が定義したルールをもとに各種の処理を行うAIです。ECサイトにおいて、女性には美容用品の広告を表示し、男性にはスポーツ用品の広告を表示する、といった処理は最も簡単なルールベースAIと言えます。

 ルールベースAIは定義されたルール以上のことができないので性能的に限界がありますが、統計的機械学習などに比べると実装が簡単なのでしばしば使われます。

 遺伝的アルゴリズムは、生物の進化をシミュレートするように試行錯誤を繰り返して、最適解を探索する手法です。「巡回セールスマン問題」(すべての都市を巡回する最短経路を求める問題)のように、全パターンの探索が不可能に近い問題に対して有効です。

 ここまで解説したAIの手法をまとめると図2のようになります。

図2 ●AIの分類。AIは機械学習とそれ以外に分類できる。また、機械学習は統計的機械学習と強化学習に分類できる
図2 ●AIの分類。AIは機械学習とそれ以外に分類できる。また、機械学習は統計的機械学習と強化学習に分類できる
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