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ESG(環境・社会・企業統治)に対する関心が世界的に高まっている。特に投資分野ではESGに配慮する企業を重視するESG投資も盛んだ。ESGへの取り組みを評価するための基準作りも進んでおり、国を越えて企業の取り組みを比較できるようになれば企業にとって関連データの収集・管理や活用は重要なテーマとなる。先進事例から対応のポイントを学ぶ。

 ESG経営の成果をより効果的にアピールするには、英IFRS財団の新基準をはじめとした非財務情報の開示基準への対応に加えて、企業が独自に課題を設定して取り組むことも重要だ。東京都日野市は地理情報システム(GIS)を使って市の課題を見える化し、SDGs(持続可能な開発目標)の推進に生かしている。具体的にはSDGsの3番目のゴール「すべての人に健康と福祉を」や11番目のゴール「住み続けられるまちづくりを」などをターゲットに、課題の洗い出しや住民サービスの拡充に取り組んでいる。

 「文面や数字だけの情報よりも一目で課題が分かり、認識も共有しやすい。新型コロナウイルス禍の迅速な施策実行につながった」。日野市環境共生部の中平健二朗環境保全課長はSDGs推進に向けたGIS活用への手応えを語る。

 日野市は2021年度のおよそ1年間、地元の飲食事業者が作った弁当をデリバリー車「日野デリ・カー」に載せ、家の近くに飲食店や商業施設がない地域で販売する「互助の食ネットワーク」事業を実施した。新型コロナ禍で発生した買い物困難者や売り上げの落ち込む飲食事業者の支援が目的で、有効な販売エリアの洗い出しにGISが役立ったという。

弁当の移動販売エリア選定にGISを活用した
弁当の移動販売エリア選定にGISを活用した
(出所:日野市提供の資料をもとに日経クロステック作成)
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 GISはデジタルの地図上に様々な情報を重ねることで、課題の可視化や分析などができるシステムだ。日野市は日野デリ・カーの実施に当たり、地域ごとの高齢化状況、スーパーやコンビニエンスストアからの距離、バス停からの距離といった情報を基に地図上で食品流通インフラの「空白地」を抽出した。