シリコン(Si)のパワー半導体の性能を凌駕し、電気自動車(EV)時代の期待を一身に集めている炭化ケイ素(SiC)と窒化ガリウム(GaN)。2~3年後に控える本格普及期を前に、パワー半導体メーカー各社は大攻勢への準備に余念がない。主要各社の動向を追った。

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次世代パワー半導体、ブレーク前夜
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住友化学がパワー半導体を狙いGaN基板量産へ、24年度に4インチ
住友化学は、窒化ガリウム(GaN)基板を手掛ける完全子会社サイオクスを2022年10月1日付けで吸収合併した。住友化学の情報電子化学部門に組み込むことで、研究開発のスピードアップを図る。同社は半導体レーザー(LD)用GaN基板でトップシェアを持つが、今後は縦型GaNパワー半導体に用途を広げていく。
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「サクセスストーリー見えてきた」、豊田合成がGaN基板大量生産に道
さまざまな産業で電化が進み、パワーエレクトロニクスへの期待が高まっている中、豊田合成は「GaN(窒化ガリウム)」に挑んでいる。狙うのは、電動化の加速をにらんだモビリティーやエネルギーソリューションへの貢献だ。GaNは、現行のSi(シリコン)、そして今まさに普及期を迎えているSiC(シリコンカーバイ…
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SiCに積極投資のデンソーと富士電機、三菱・東芝は乗り遅れる可能性
日本のパワー半導体メーカーは、2021年のSiCシェアの上位10社中4社を占めるなど、世界で強い存在感を放っている。研究開発も精力的で、SiC関連の累計特許数は世界トップを誇る。
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テスラ採用でSTがSiC第1ラウンド制す、ロームやインフィニオンが猛追
世界シェア40%(2021年、金額ベース)。現在、炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスで圧倒的な立場にいるのが、伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)だ。同社の躍進のきっかけは、2017年に出荷を開始した米Teslaの電気自動車(EV)「Model 3」の駆動モ…
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SiCパワーデバイスが2025年についに離陸、EVへの大量搭載が契機
来るぞ来るぞといわれて久しい、炭化ケイ素(SiC)のパワーデバイスがついに離陸のときを迎えつつある。節目となるのは2025年だ。
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SiCとGaNはなぜ注目される?、「パワー半導体」10の疑問
電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及によって需要が高まっている「パワー半導体」。名前は聞いたことがあるが、具体的な用途や、その他の半導体との違いが分からない人も多いのではないだろうか。知っておきたい事項をまとめた。