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(イラスト:高松 啓二)
(イラスト:高松 啓二)
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 前回(第2回)の内容を復習すると、129件の重要特許のうち上位出願人(トップ8)が占める82件を個別に確認し、複数社の共通点を潮流として7つあぶり出した。今回からは該当件数が4件以上の「4大潮流(①~④)」について順次紹介することとする(図1)。

 まず、①ラグ/違和感のない像+レンダリング最適化は、「ユーザー視点での違和感/VR(仮想現実)酔いの解消に向けたソフトウエア面での進化編」といえるものであり、今回はこれを紹介する。

図1 XR端末関連の潮流一覧
図1 XR端末関連の潮流一覧
(出所:知財ランドスケープ)
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注目主要プレーヤー①:米Microsoft(マイクロソフト)

 本潮流は、トップ8のうち、米Microsoftと米Magic Leap(マジックリープ)、ソニーグループ、米Apple(アップル)、米Meta Platforms〔メタ・プラットフォームズ、旧Facebook(フェイスブック)、以下Meta〕の5社の共通点としてあぶり出されたものであり、主要プレーヤーの大半が関連出願を有する点で最注目といえる。

 Microsoft名義のうち、代表的な「JP5965410」(2010年出願、年平均他社被引用数41.7、図2)」は、「拡張現実ディスプレイ用最適焦点エリア」に関するもの。ユーザーの頭と目の位置と動きを把握・追跡し、次の目の位置に応じた画像を最適に映し出して、ユーザー視点での違和感やVR酔いを解消するものである。5社名義の関連出願のうち、最先の出願かつ年平均他社被引用数も最大であって注目に値する。

 MR(拡張現実+仮想現実)グラスの代表格である同社の「Hololens」では、グラスを通して見える現実の景色とこれに重ねられるCGの景色との差が大きく、両者の位置関係のずれや視点移動時の時間差がユーザーに違和感を与えたり、VR酔いを引き起こしたりしやすいため、その解消策として注目度大といえよう。

図2 JP5965410(2010年出願、年平均他社被引用数41.7)
図2 JP5965410(2010年出願、年平均他社被引用数41.7)
(出所:知財ランドスケープ)
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注目主要プレーヤー②:Magic Leap

 Magic Leap名義の「JP6826174」(2014年、年平均他社被引用数39.1、図3)は、ユーザーの頭部の動きを検知または予測し、所定のオブジェクトを表示するものに関して、ユーザー視点での違和感やVR酔いを解消する。その点で上述したMicrosoft名義の特許と共通しており、注目に値する。

図3 JP6826174(2014年、年平均他社被引用数39.1)
図3 JP6826174(2014年、年平均他社被引用数39.1)
(出所:知財ランドスケープ)
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注目主要プレーヤー③:ソニーグループ

 ソニーグループ名義のうち、代表的な「JP6484340」(2015年、年平均他社被引用数25.4、図4)は、「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた仮想または拡張現実シーン内のユーザー対話の方法及びシステム」に関し、ユーザーの状態をHMDの動きから把握・予測して、レンダリングを最適化するものである。

 先のMagic Leap名義の特許と類似するとともに、上述のMicrosoft名義の特許とも共通していて注目に値する。ソニーグループは「PlayStation VR」向けVRグラスに傾注しており、現実の景色との差自体は問題にはならないが、長時間没入して使用されることから、VR酔いの解決が商品訴求力に直結するため、なおさら注目に値する。

図4 JP6484340(2015年、年平均他社被引用数25.4)
図4 JP6484340(2015年、年平均他社被引用数25.4)
(出所:知財ランドスケープ)
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