今回は、前回(第5回)に引き続きIPランドスケープであぶり出された潮流を紹介したい。今回紹介する④ジェスチャー操作の高度化によるUX(ユーザー体験)進化編は、ユーザーの利便性や快適性に直結し、メタバース普及に資するため、注目潮流としてふさわしい(図1)。
注目主要プレーヤー①:米Microsoft(マイクロソフト)
Microsoft名義の「JP5819856」(2010年、年平均他社被引用数43.3)は、「モーション・キャプチャー・システムにおけるユーザー意図の認識」に関し、アプリの操作をジェスチャーで自在に行えるように支援するものである(図2)。モーションキャプチャーのための深度カメラシステムや、意図を把握するための音声認識システムなどのハードウエアと、収集データを分析して目的を果たすソフトウエアとを融合するもので注目に値する。
本出願のモーション・キャプチャー・システムは、同社が2010年に上市し、2017年に生産中止した「Kinect」に相当するところ、2019年の「HoloLens 2」の上市に合わせて、クラウド版の「Azure Kinect」として再デビュー済みだ。ゲーム機向けから業務向けに方針転換しつつ「Azure」とのシナジーを狙う動きといえ、なおさら注目に値する。
注目主要プレーヤー②:米Magic Leap(マジックリープ)
Magic Leap名義のうち、代表的な「JP2020519986」(2018年、年平均他社被引用数20.0)は、「ウェアラブルシステムのためのマルチモード実行およびテキスト編集」に関し、MR(複合現実)グラス以外のウエアラブル機器(リモコン含む)やジェスチャー操作との連携を最適化するものだ(図3)。UX向上に直結するため注目に値する。同社のWebサイトには、GESTURE Mappings(ジェスチャー・マッピング、早見表)が掲載されており、ジェスチャー操作の充実振りがうかがえて、なおさら注目に値する(図4)。