事実や情勢を、悪意のある何者かから守る――。そのために古くから用いられてきたのが暗号だ。対称暗号やケルクホフスの原理、非対称暗号と鍵交換、デジタル署名など、暗号技術を理解するための基本を易しく解説する。

特集
暗号技術、基本のキ
出典:「現代暗号技術入門」(日経BP)
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
目次
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概念の誕生から実用化まで、「ゲームブック」で理解する暗号アルゴリズム
暗号アルゴリズムの概念が生まれてから、一般の人に安全に使ってもらえる形になるまでにどんな過程をたどるのか。「ゲームブック」を使って理解しよう。
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女王しか開けられない宝箱を誰もがつくれる、RSA暗号の仕組み
RSA暗号には、公開鍵暗号アルゴリズム(非対称暗号)と、デジタル署名方式が使われている。どちらも、暗号アルゴリズムとしては非対称暗号に分類される。これらのしくみと、それが有益な理由について説明する。
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女王と「共通の秘密」を設定、公開鍵暗号を図形で理解
対称暗号では1種類の鍵しか使わなかったが、非対称暗号では、異なる関数に異なる鍵を使用する。つまり、参加者ごとに異なる立場を用意するのである。これがどういうことか、公開鍵暗号では信頼関係をどのように確立するのかを説明しよう。
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どうせ見つかるなら先に公開、暗号を強くする「ケルクホフスの原理」
暗号の標準をオープンな場で策定しようというアイデアに関わっているのが、「ケルクホフスの原理」として知られる概念だ。どんなアルゴリズムを使おうと、いずれは敵にも発見されるのだから、敵に発見されないという前提に立つのは意味がない。
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中身は読まれてもいい、女王の手紙を守る「秘密鍵」の仕組み
アリス女王がボブ卿に宛てて手紙を送りたがっている、そんな場面を考えてみよう。ボブ卿は、少し離れた国に住んでいる。アリス女王は、忠実な使者にこう命じる。ボブ卿の国までの危険に満ちた土地を駿馬で走り抜け、大切な手紙をボブ卿に届けてほしい─。