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 富士通の時田隆仁氏が社長に就いて丸3年が経過した。今期(2023年3月期、2022年度)は「時田改革」の節目と言えるタイミングである。公約として掲げる「本業で2022年度に営業利益率10%」は必達目標だ。時田氏の独白から、もがきながらも改革を進める富士通の現在地を読み解く。

日経クロステックの取材に応じた富士通の時田隆仁社長
日経クロステックの取材に応じた富士通の時田隆仁社長
(写真:村田 和聡)
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 社長就任から間もない2019年9月に開いた経営方針説明会。時田氏はITサービスなど「本業」であるテクノロジーソリューション事業で、2022年度(国際会計基準)に売上収益(売上高に相当)3兆5000億円、営業利益率10%の達成を経営目標に掲げた。その後、売上収益の目標値は3000億円下方修正して3兆2000億円としたが、営業利益率10%の目標値は変えなかった(いずれも特殊要因を除く)。

時田社長:IR(投資家向け広報)の場でもアナリストや投資家の皆さんから「自信のほどは」と聞かれますが、自信がなければ目標として掲げません。まだまだチャレンジもありますが、手が届かない数字ではありません。ただし、売上収益の目標は残念ながら落とさせていただいたということです。

 あくまで、テクノロジーソリューション事業の営業利益率10%は出発点だと思っています。「なぜ10%なのか」という質問も過去に何度か受けましたが、グローバルで戦うには、(営業利益率10%は)最低ラインではないかという感覚があります。

テクノロジーソリューション事業の売上収益と営業利益率の推移(いずれも特殊要因を除く)
テクノロジーソリューション事業の売上収益と営業利益率の推移(いずれも特殊要因を除く)
(出所:富士通の資料を基に日経クロステック作成)
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「Ridgelinezにネガティブな印象は持っていない」

 時田氏は社長就任当初から「IT企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)企業へ」という方針を掲げ、各種の改革を進めてきた。その目玉施策といえるのが、コンサルティングを手掛ける新会社Ridgelinez(リッジラインズ)の設立だ。富士通の子会社ではあるものの、「出島」という位置付けで、本体からはあえて距離を置いた。

時田社長:Ridgelinezについては、(新型コロナウイルス禍など)色々な制約を受けたなかでの設立なので、(事業の進捗に)それほどネガティブな印象は持っていません。手放しで喜べるほど活動が順調にいっているわけでは決してないですが、2021年度の売り上げは2020年度比で2割以上成長できました。

 何よりも、今までの富士通とは異なる顧客に、今までと異なる観点で向き合えている点に手応えを感じています。富士通が主に情報システム部門とお付き合いしてきたことに対し、Ridgelinezは経営トップ層にリーチできています。今後も富士通に引っ張られることなく、良いコラボレーションやコンビネーションが生まれるように工夫していきたい。

 Ridgelinezはいわゆるピュアなコンサルティング会社をイメージしてつくった会社ですから、富士通と異質な文化を持つことには全くネガティブな印象を持っていません。直すべきところも見えてきているし、良い経験値を積んでいます。あとは、利益を生み出す体質にきちんと変えていけるかどうかです。

時田改革の主な施策
時田改革の主な施策
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