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 富士通の「出島」として、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援のコンサルティング事業を伸ばす。こんなミッションを掲げて2020年4月に事業を始めたのがRidgelinez(リッジラインズ)だ。

 「富士通の完全子会社ながら親会社とは是々非々の関係を貫く」「360度評価や第三者評価をはじめとする人事評価制度を備える」「1年で4~5人に1人が離職するほど社員の入れ替えサイクルが目まぐるしい」――。

 富士通グループにあって異質な存在であるRidgelinezは、「時田改革」において目玉施策の1つでもある。「いわゆるピュアなコンサルティング会社をイメージしてつくった会社」(富士通の時田隆仁社長)は期待された役割を果たせているのか。

 富士通の公表資料によれば、Ridgelinezの2022年3月期(2021年度)の売上高は2020年度比で約2割増だった。「立ち上げ期の会社としては、本当は4割増くらいを達成したかった」。Ridgelinezの今井俊哉社長はこう打ち明ける。

Ridgelinezの今井俊哉社長
Ridgelinezの今井俊哉社長
(写真:陶山 勉)
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 新型コロナウイルスの感染拡大と会社立ち上げの時期が重なってしまったとはいえ、「コロナのせいばかりにはできない」(今井社長)。富士通の時田社長は2022年6月27日に開いた定時株主総会で、Ridgelinezについて「まだ人件費が先行し、黒字転換できていない。2022年度は黒字体質に持っていけるように経営として努力していく」と語った。

富士通側と「ちぐはぐな動き」

 Ridgelinezの主力事業はDXのコンサルティング全般だ。顧客企業のDX戦略の立案から新たな事業やサービスの設計、業務プロセスや情報システムアーキテクチャーの設計、運用体制やプロジェクト計画の策定、協業の枠組みづくりまで。PoC(概念実証)をはじめとする一部のシステム開発を手掛けるものの、基本的には上流のコンサルティングが主体だ。

 とりわけ重視するのがDXの「X」、つまりトランスフォーメーション(変革)の戦略づくりだ。具体的には、顧客(Customer)、従業員(Employee)、経営(Management)、業務運用(Operation)の4分野について、変革の方法論の策定やITを使った基盤システムの設計に取り組んできた。

 Ridgelinezは富士通Japanと同様に生みの苦しみに直面した。売上高を伸ばしたものの、今井社長のもくろみには届かなかった。理由の1つが、富士通グループ各社と共同で取り組むプロジェクトにおいて、富士通グループ側のSEとRidgelinezのコンサルタントの仕事で「ちぐはぐな動き」(今井社長)をするケースが、2021年度の前半に目立った点だという。

 ハードウエアをはじめとする製品販売が主体の事業ならば実績は数字ですぐに表れる。しかしコンサルティング事業は「いろいろと手を出して(正解かどうか)方法論を揺らしてみないと適切かどうか分からない」(同)。試行錯誤を重ねたことで2021年度の後半にかけて「(SEとコンサルタントが)こういう組み方なら効果的、というケースを幾つか見つけ出せた」(同)。