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通信効率を高めるOFDMAやMU-MIMOを導入

 Wi-Fi 6はWi-Fi 5よりも通信効率を高めるOFDMAやMU-MIMOといった仕組みを導入しており、従来規格よりも接続台数が多い環境で特に有利だ。

 Wi-Fi 6は、伝達方式にOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access、直交周波数分割多元接続)を採用する。Wi-Fi 5までのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重方式)が、1つのチャネルに対し1つの機器に対する通信しか伝達できず、複数台同時通信時の効率が悪かったのに対し、今回新たに導入されたOFDMAは1つのチャネルを分割し複数機器向けのデータを割り振ることができる。OFDMよりも効率の良い通信ができるようになった。

 また、Wi-Fi 5の一部の機種で採用していたMU-MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)も、Wi-Fi 6では規格に組み込まれ機能が強化された。MU-MIMOは電波の位相を調節し、複数の機器に同時に電波を送信する仕組み。Wi-Fi 5はその機能を同時に活用できる子機の台数は最大4台と決められていたが、Wi-Fi 6では最大8台に増えた。また、MU-MIMOは従来ダウンロードのみしか利用できなかったが、Wi-Fi 6ではアップロードでも利用できるようになった。

 Wi-Fi 6は、TWT(Target Wake Time)という、省電力機能にも対応する。TWTに対応する子機は、接続時にバッテリーの持ちが長くなる。従来の接続方法では、スリープした状態の子機と通信するには、無線LANルーターから接続するすべての端末に対しウエークアップ(Wake-up)信号を送信していた。そのため、通信に関係のない端末もその信号に反応しスリープが解除されてしまい、電力を消費してしまう。そこでTWTは、無線LANルーターが端末ごとにスリープの状態を把握し個別に信号を送ることで、無駄な電力消費を防ぐ。TWTを使うには無線LANルーターだけでなく、端末側の対応も必要で一部のWi-Fi 6対応機器のみ利用できる。

最新規格はいつ製品化されるのか

 Wi-Fi 6にWi-Fi 6Eという規格も追加された。「E」は「Extended」(拡張)を表し、5GHz帯と2.4GHz帯のほかに新たに6GHz帯の利用を規格に加えている。それ以外はWi-Fi 6に準拠している。

 Wi-Fi 6はチャネルを複数使って高速化を図るチャネルボンディングを活用する。日本で活用できる5GHz帯では、20MHz幅のチャネルを合計20個利用できる。だが、160MHz幅でチャネルボンディングした場合、ほかと全く混信せずに利用できるチャネルは、たったの2つしか確保できない。そこで、6GHz帯を使いチャネルを増やすことで、機器同士の混信を防ぐ。

 Wi-Fi 6Eは国内で法整備が整っておらず、2022年7月上旬時点で日本では利用できない。米国や欧州の一部地域では既に利用を開始しており、対応の無線LANルーターが販売されている。Wi-Fi 6E対応の子機は徐々に増えつつある。パソコンでは、米Intel(インテル)の第12世代Coreを搭載する製品にWi-Fi 6E対応製品が多い。また、Wi-Fi 6E対応スマホも上位機種を中心に増えている。

 Wi-Fi 6の後継規格として、Wi-Fi 7ことIEEE 802.11beも徐々に姿を現しつつある。現在はまだ規格策定中で、Wi-Fi 6Eを基にさらに速度を向上した規格になる予定だ。Wi-Fi 7に対応する製品の登場は、数年後になるとみられるため、今Wi-Fi 6対応製品を買い控える必要はないだろう。

 Wi-Fi 6やWi-Fi 6E以外にも、Wi-Fi HaLow(IEEE 802.11ah)も準備されている。速度は低速だが、IoT機器での利用を想定し、従来のWi-Fiより低消費電力かつ長距離で利用できる特徴を持つ。920MHzの周波数帯を使い、最大1kmの伝達距離を可能とし、壁や他の障害物の通過性も高いとしている。

Wi-Fi 6は新たに6GHz帯を追加したWi-Fi 6Eに拡張された。ただし、日本ではまだ6GHz帯の利用はできない
Wi-Fi 6は新たに6GHz帯を追加したWi-Fi 6Eに拡張された。ただし、日本ではまだ6GHz帯の利用はできない
(出所:Wi-Fi Alliance)