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 大手建設会社で大幅な賃金引き上げが相次いだ2022年春。定期昇給だけでなく、ベースアップ(ベア)を実施する企業も目立った。

 一般的に、社員全体の基本給を底上げするベアは、定昇よりも企業の負担が大きい。大手建設会社20社を対象に日経コンストラクションがアンケート調査を実施したところ、10社がベアに踏み切ったことが分かった。

大手建設会社の賃上げ状況
大手建設会社の賃上げ状況
「定期昇給を含む賃上げ」には、賞与や残業代などは含まない。「―」は未定あるいは非回答。日経コンストラクションが実施したアンケート調査に基づく
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 5年ぶりとなる大成建設は1.5%のベアを実施した。同社人事部計画室の武本達室長は「ベアの狙いは、処遇の改善や新型コロナウイルス禍における社員の士気向上などだ」と説明する。

 大林組は、22年3月期の単体の純利益が前期比76.8%減だったが、「将来の担い手を確保していくことが責務」として、1.1%のベアを実施した。ベアは17年以来5年ぶりだ。国内グループ会社でもベアを実施する予定だ。

 既存社員の賃上げと併せて、初任給を見直した会社も多い。日経コンストラクションが調査した20社のうち10社が初任給を引き上げた。大卒、大学院卒ともに、引き上げ額は2社が1万円、8社が5000円だ。21年の大卒初任給は、大成ロテックを除く全ての回答企業が24万円と横並びだったが、22年の増額で差がついた。

 1万円引き上げた大成建設は、「担い手不足を解消するためにも若手の処遇を改善し、魅力的な業界や会社にしたい」(武本室長)として頭一つ抜け出た。

2022年4月入社の初任給の額
2022年4月入社の初任給の額
一般職・総合職などに分かれている会社は総合職の金額を記した。カッコ内は21年4月入社からの引き上げ額。カッコの表示のない会社は21年4月入社と同額。日経コンストラクションが実施したアンケート調査に基づく
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 多くの企業がベアを実施した背景に、国土交通省などが総合評価落札方式の入札で22年4月の契約案件から適用している賃上げ企業への加点制度がある。大手の建設会社が加点を受けるには、3%以上の賃上げを実施しなければならない。多くの会社は定昇幅が2%前後にとどまるので、それだけでは基準を超えない。

 ベアと定昇を合わせて3%以上賃上げしたのは、回答があった15社のうち11社だ。3%に達しない企業は、賞与の増額や諸手当の引き上げを検討している。

 21年と22年でベアを続けた会社もある。前田道路は21年に5.4%、22年に2%のベアを実施した。22年に1.6%のベアを実施した鉄建建設は、 21年には26 ~ 39歳の社員を対象に1.6%引き上げていた。両社とも、社員のモチベーション向上などを狙いつつ、賃上げの加点制度を考慮した。