減塩したりカロリーを控えたり…。食事制限は生活習慣病の予防や治療に必要不可欠だが、なかなか続けるのが難しい。また、アレルギーや加齢などが原因で好きなものが食べられないこともある。これまで食事制限は「我慢するもの」という印象が強かったが、デジタル技術を使えばもっとおいしく豊かにできるかもしれない。電気味覚で塩味を感じやすくするほか、錯覚を起こして満腹感を高める技術が開発されている。予防や治療の支援に向けた新しい食事は定着するか。現状の技術と今後の展望を追った。

減塩したりカロリーを控えたり…。食事制限は生活習慣病の予防や治療に必要不可欠だが、なかなか続けるのが難しい。また、アレルギーや加齢などが原因で好きなものが食べられないこともある。これまで食事制限は「我慢するもの」という印象が強かったが、デジタル技術を使えばもっとおいしく豊かにできるかもしれない。電気味覚で塩味を感じやすくするほか、錯覚を起こして満腹感を高める技術が開発されている。予防や治療の支援に向けた新しい食事は定着するか。現状の技術と今後の展望を追った。
食事の満足度、特においしさに対する評価には食品の味や見た目だけでなく、食感も大きく影響する。そうした食感をデジタル技術で再現する取り組みが進んでいる。例えばパナソニックは、咀嚼(そしゃく)時の音や振動に着目し、外部からそれらの刺激を加えて食感を再現することを目指す。
AI(人工知能)が私の栄養状態から肉の消費量を控えたほうがいいと判断し、HMDを介して見える肉のサイズを大きく映す。実際に食べた量が少なくても満腹感を得られた。これまでは努力して取り組むのが当たり前だった食事制限が実践しやすくなる――。そんな未来の食事がデジタル技術の応用で実現するかもしれない。
塩分の取り過ぎは健康状態の悪化を招きやすい。しかし、慣れた味や食習慣を変えるのは簡単ではなく、これまでは減塩食のおいしさに対しては少なからず「我慢」が必要だった。減塩食でも満足できるおいしさを得られないものか――。キリンホールディングスが塩味の感じ方に関する新しい研究に取り組んでいる。
多くの人にとって食事は喜びと直結する。食事制限によって満足度が低下し、継続のモチベーションが保てないのが現状の課題だ。この課題を解決しようというデジタル技術が続々と登場している。