初めまして。「クロステック調査部」です。このたび、身近にある製品を分解したり裏側を調査したりするプロジェクトを始めました。その第1弾のテーマとして選んだのが、「1万円台で手に入る超格安スマホって使い物になるの?」です。
最大手のECサイトで検索を繰り返し、調査部が選んだのは次の6機種です(図1)。(1)「CUBOT Kingkong Mini 2」、(2)「Ulefone Armor X7 PRO」、(3)「UMIDIGI A3S」、(4)「OSCAL S60」、(5)「Blackview A55」、(6)「Galaxy A22 5G」。いずれもECサイト「Amazon.com」で1万~1万5000円程度で購入できるものです。
6製品の内、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)製のGalaxy A22 5G以外は、すべて中国メーカーの製品でした。海の向こうから輸送されて来るからでしょう、購入から配送まで2~3週間を要した機種もありました。
手元に届いた端末を見て、困ったことがありました。なんと、一部機種に技適マークが付いていなかったのです。技適マークは、電波法令で定めている技術基準に適合している無線機であることを証明するマークです。技適マークがない機器で無線機能をオンすると法令違反となってしまいます。スマートフォンのWi-Fi通信機能を使って、アプリケーションの動作やベンチマーク結果を確かめようと考えていたのですが、このままでは実験できません。ちなみに、技適マークが付いていなかったスマートフォンは、CUBOT Kingkong Mini 2とUlefone Armor X7 PROの2機種でした(図2)。
どうしようか。調査部で悩んでいたところ、調査員Nがぽつり。「そういえば、実験用に技適がない製品でも使える制度ができたんじゃなかったっけ?」
調査員Nの記憶を基に調べてみたら、確かにありました。総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」というものです(図3)。この制度は2019年11月に始まった制度で、Web上から届け出をすれば、技適マークの無い製品でも180日以内の短期間の実験・試験・調査が可能になるというものです。そこで今回、技適マークの無い2機種のスマートフォンを、この制度で届け出ることにしました。
技適が無くても一時利用できる、特例制度の申請にチャレンジ
この制度のWebページによれば、「無線局を開設する」という形で、利用する無線機器を届け出る必要があるとのこと。そのためには、本人確認が必須のアカウントを作る必要がありました(図4)。
まずは有効な電子メールアドレスを入力し、メールで届いたワンタイムパスワードを入力欄に記入しました。すると、氏名や住所、連絡先などのユーザー情報を入力する画面が現れたので、これらを記入して送信すると、仮登録が完了しました。この段階で、ユーザーIDが発行され、パスワードを設定できるようになりました(図5)。
仮登録が済んだら、再度メールでワンタイムパスワードを受信して認証を行います。次に現れるのが本人確認画面です(図6)。今回は法人利用ではなく個人利用として申請しました。本人確認は、マイナンバーカードの署名用電子証明書を用いてオンライン上で確認するか、必要書類を総務省の各総合通信局に郵送して確認するかの2つの方法がありました。
調査部では前者の方法を選び、スマートフォンからアクセスし直しました。ここで、スマホにマイナンバーカードを読み取らせると、すぐに本人確認は完了しました。ここでマイページにアクセスできるようになり、「開設届出」へのリンクボタンも確認できました(図7)。