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 さて、「1万円台で手に入る超格安スマホって使い物になるの?」プロジェクトの2回目です。今回はベンチマークアプリなどを使用し、実際の性能を確認してみました。

 日経クロステック調査部が選んだ6機種をおさらいすると、(1)「CUBOT Kingkong Mini 2」、(2)「Ulefone Armor X7 PRO」、(3)「UMIDIGI A3S」、(4)「OSCAL S60」、(5)「Blackview A55」、(6)「Galaxy A22 5G」の6つです。

 まずは、これらの6機種のスペックを見てみましょう(表1)。選定基準の1つは価格ですが、第2の基準はSoCです。中国メーカー製の5機種は、すべて台湾MediaTek(メディアテック)のSoC「MT6761V」を搭載した機種を選びました。同じSoCを搭載するモデルであっても性能や内部に違いがあるのかを確認するためです。「もしかしたら、中身の基板は全部同じなのでは?」という期待もありました。Galaxy A22 5Gだけは、より高性能な同社のSoC「MT6833V」を搭載しています。

表1 6機種のスペックの比較
表1 6機種のスペックの比較
(出所:日経クロステック、表内の写真はスタジオキャスパー)
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 中国メーカー製の5機種は、同じSoCを搭載しているものの、本体サイズはバラバラです。ディスプレーサイズは、最も小さいCUBOT Kingkong Mini 2で4インチ、最も大きいBlackview A55で6.5インチ。横に並べると大きさや厚さの違いがよく分かります(図1)。内部のメイン基板や2次電池の大きさがどれぐらい異なるのか、後ほど分解して確かめたいところです。

図1 今回ベンチマークを実施した6機種
図1 今回ベンチマークを実施した6機種
左から、Galaxy A22 5G、UMIDIGI A3S、Blackview A55、OSCAL S60、Ulefone Armor X7 PRO、CUBOT Kingkong Mini 2(写真:日経クロステック)
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ベンチマークアプリでは5機種が横並び

 はじめに、スマートフォン用のベンチマークアプリ「GeekBench 5」を使用して、CPU性能とグラフィックスのスコアを調べてみました。

 ここで、一部のメーカーのスマートフォンでは、ベンチマークアプリが起動しているときに、スコアを大きく見せる仕組みが入っているという噂を耳にします。そこで、GeekBench 5の開発者が提供する、GeekBench 5をゲームアプリに偽装させたというアプリを使用し、偽装アプリと通常アプリで2回計測しました(図2)。

図2 通常のベンチマークアプリを実行した様子
図2 通常のベンチマークアプリを実行した様子
左上から、CUBOT Kingkong Mini 2、UMIDIGI A3S、Ulefone Armor X7 PRO、左下からOSCAL S60、Blackview A55、Galaxy A22 5G(写真:日経クロステック)
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 計測の結果、CPUのスコアは中国製の5機種がほぼ同じスコアで横並びとなりました(表2)。これらは同じSoCを搭載しているため、ベンチマークでは差が出ないのはうなずけます。グラフィックス性能を計測するCOMPUTEのスコアでは、性能が低いからでしょうか、計測に非常に時間がかかり、途中でエラーメッセージとともに終了してしまう現象に遭遇しました。ベンチマークソフトの値を書き込んでありますが、表の値が正確なスコアではない可能性があります。

 なお、この5機種は偽装アプリと通常アプリでスコアの違いは見られませんでしたが、残り1機種のGalaxy A22 5Gは、通常アプリのスコアが偽装アプリの約1.1倍~1.5倍に上昇しており、ベンチマーク対策をしていると推測できます。

表2 GeekBench 5で計測した6機種のベンチマークスコア
表2 GeekBench 5で計測した6機種のベンチマークスコア
中国メーカー製の5機種は通常アプリでの結果を、Galaxy A22 5Gは偽装アプリでの結果を表にまとめている(出所:日経クロステック)
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