「1万円台で手に入る超格安スマホって使い物になるの?」調査プロジェクトです。今回は、スマートフォンのカメラ機能テスト中に違和感があった点について、より詳しく調べていきます。
具体的には、背面カメラの外装の個数(レンズ部分の個数)と、実際に有効なカメラの個数が違う、というものです。このカメラの個数の真偽について、最後には分解もして確認してみました。
違和感のあったスマートフォンは、全部で4機種ありました。「OSCAL S60」「Blackview A55」「CUBOT Kingkong Mini 2」、そして「UMIDIGI A3S」です。いずれも中国メーカー製です。これらは背面にそれぞれ、4眼カメラ、3眼カメラ、2眼カメラ、2眼カメラを備えているように見えます(図1)。
違和感が生じたきっかけは、カメラのレンズを隠しても画面に映し出される映像に変化が無かったからです。近年のハイエンドなスマートフォンは複数のカメラを搭載したモデルが増えており、望遠レンズや超広角レンズなど、撮影モード(ズームの倍率)を切り替えると使用するカメラも変わるケースが多くあります。例えば、超広角レンズを隠した状態で望遠モードから超広角モードにすると、画面に映し出される映像が目隠しされるといった具合です。
一方で、この4機種では、カメラのズームを変えても、レンズが切り替わっている様子がありません。そこで、カメラのレンズをシールで隠しながら、どのカメラが有効なのかを確かめてみました(図2)。すると4機種とも、1つのレンズのみカメラの撮影に使用していることが分かったのです(動画1)。
ここで、カメラのレンズをデジタル顕微鏡で拡大して観察してみました。すると、本物だと思われるレンズは、顕微鏡に付けられたライトの光点が複数個反射して映り込みました。どうやらちゃんとレンズとしての役割を果たしているようです(図3)。
一方、偽物ではないかと推測されるレンズは、光点が1つ分しか映り込みません(図4)。この時点で、複数のカメラがダミーなのではないかと推測できました。
いくら外から見たところで、本物なのかダミーなのか、はっきりとは分かりません。そこで、実際に各機種の分解を行い、イメージセンサーは搭載されているのかを、確認していくことにしました。
分解して内部を確認、4眼のうち3眼はダミーだった
はじめに、4眼カメラを持つように見えるOSCAL S60を確認していきます。メイン基板と黒いセンターフレームをきょう体から取り外すと、背面側にカメラモジュールらしき部品が4つ、姿を見せました(図5)。
左側にある同じ形状で比較的小さなカメラ2つは、動作確認時はダミーだと予想していたカメラです。これらは同じフレキシブル基板でつながっており、カメラの間にフラッシュ用のLEDが実装されています。このフレキシブル基板は、センターフレームに両面テープで貼り付けられていました(図6)。
カメラモジュールを開封してみると、中にイメージセンサーはありませんでした(図7)。もう1つも同様で、この2つのカメラはダミーだったことが分かりました。
残る2つのカメラは、どちらもメイン基板に貼り付けられています。このうち、ダミーだと予想していたほうのカメラを外していきます。外してみると、イメージセンサーが無いどころか、レンズだと思っていた樹脂部分には穴すら空いていませんでした(図8)。
残る1つは、本物で、ちゃんとイメージセンサーも搭載されていました。これで、4つのカメラのうち3つがダミーだったことになります。本物とダミーとを合わせて、カメラモジュールを背面カバーと並べてみると図9のようになります。