「1万円台で手に入る超格安スマホって使い物になるの?」調査プロジェクト、最終回となる今回は6機種を分解して分かった、内部構造の共通性などについて調べていきます。
6機種のうち中国メーカー製の5機種は、あえて台湾MediaTek(メディアテック)のアプリケーションプロセッサー「MT6761V」を搭載する製品を選びました。本体のサイズや外観は異なっていても、内部構造や基板の造りは酷似するのではないか、あるいは全く同じなのではないかと、推測したためです。かつて「山寨機(さんさいき)」と呼ばれた携帯電話機ではそのようになっていたからです。今回、それを確認していきます。
まずは、ディスプレーや背面カバーを取り外した状態を比べてみます。結論から言うと、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)製と中国メーカー製の5機種の計6機種すべてが同じような構造になっていました。上部にメイン基板、中央に2次電池、下部にコネクター用基板があり、メイン基板とコネクター用基板はフレキシブル基板で結ばれるというものです。
はじめに、サムスン電子製の「Galaxy A22 5G」を見てみます。先に述べたように、本体上部には、メイン基板が配置され、中央に2次電池が置かれています。本体下部にはUSB Type-Cの外部接続端子とそのコネクター用基板があり、フレキシブル基板が2次電池の表側あるいは裏側を通ってメイン基板とコネクター用基板をつないでいます(図1)。背面・前面カメラは、メイン基板の近くに置かれています。
この配置は、5.8インチのGalaxy A22 5Gよりも大きな6.5インチの「Blackview A55」や、ほぼ同等な5.5インチの「UMIDIGI A3S」でも同様でした。最も小さな4.0インチの「CUBOT Kingkong Mini 2」も、同じ配置になっていました(図2、図3、図4)。
内部構造には違いがありませんが、外装を開けて内部にアクセスする順序には、機種ごとに差がありました。例えば、上記の4機種は背面カバー側から外装を開けて、2次電池やメイン基板に到達できます。
一方、5.0インチの「Ulefone Armor X7 PRO」と5.7インチの「OSCAL S60」は、ディスプレーを外すとアルミダイカスト製と思われるセンターフレームが現れ、そのセンターフレームの奥に2次電池やメイン基板などが置かれていました(図5、図6)。
この2機種は、タフネススマートフォン(ラグドフォン)と呼ばれる、外装に衝撃吸収材などを使用していて、防水防じんの「IP68」規格に対応するとうたう製品です。近年のiPhoneシリーズのように、ディスプレーを蓋とすることで気密性を高めているようです。