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STマイクロ製のカスタムICがずらり

 メイン基板のB面は、一面にアンテナ素子の制御ICなどが並び、右端にそれ以外のICが配置されている(図8)。実装されたICの多くは伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)製である。

 例えば右上には、STマイクロエレクトロニクス製の銀色のFPGA「GLLCCOD6BF LEADFREE HPALE VQ KOR HP 216」があり、変復調を担うベースバンドプロセッサーだとみられる。右上の角端には、シールドで囲まれた同社製のRFレシーバー「STA8089FG」が実装されていた。このICはGPS/Galileo/Glonass/Beidou2/QZSSレシーバーとしての機能も備えている。

 FPGAの周囲には、米Kingston Technology(キングストン テクノロジー)製のDRAM「D2516ECMDXGJD」が2つと、同社のフラッシュメモリー「EMMC04G-W627」が実装されていた。

図8 メイン基板のモーター側(B面)
図8 メイン基板のモーター側(B面)
(写真:スタジオキャスパー)
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 このほか、メイン基板のB面にはコネクター端子が2カ所実装されていた(図9)。基板の中央寄りにあるのがアンテナのモーターを制御する黒いケーブルを接続するコネクターで、右寄りにあるのがアンテナとは別に用意されるルーターとつなぐデータ通信用の白いケーブルを接続するコネクターである。

 両コネクターはメイン基板の端ではなく、少し中央寄りの位置に実装されていて、素人目には美しい設計とは言い難い。アンテナを設計したことのある技術者にこの点を聞くと、「基板を小さくする上で回路設計を優先した結果、ここにしか置けなかったのではないか」という答えが返ってきた。

図9 メイン基板には2本のケーブルだけで接続している
図9 メイン基板には2本のケーブルだけで接続している
(写真:日経クロステック)
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 アンテナ素子の制御は、スペースX向けのカスタム品とみられるSTマイクロエレクトロニクス製IC「VQ136891 GLLBSUABBBA HPAGV KOR GL04 216G」が担当しているようだ。

 基板上に同一のICが16個配置されており、その周囲には1個当たり32個の小さなICが接続されている(図10)。32個の小さなICに印字された型番は何種類かあるが、冒頭が「GEA~」で始まるものと「GOA~」で始まるものがペアになって配線されていた。

図10 1つのカスタムICで32個のチップを制御か
図10 1つのカスタムICで32個のチップを制御か
メイン基板B面の左上にあるカスタムICとその周囲を拡大した様子。32個のチップは5種類に分類できた(写真:スタジオキャスパー)
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