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各府省庁のPMO/PJMOをてこ入れ

 課題の2つ目は、各府省庁におけるシステム管理・推進体制が十分でない点である。

 各府省庁でシステムを全体管理するPMO(ポートフォリオ・マネジメント・オフィス)やプロジェクト推進を担うPJMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の構築については、デジタル庁は前身の内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室時代から指示してきた。だがここに来て政府は2022年6月に改訂し閣議決定した「重点計画」において、各府省庁のPMOとPJMOに関して、体制の充実や予算を管理する会計部門などとの連携強化といった権限の強化などを進めると決めた。

 もちろん各府省庁のPMOやPJMO体制が整備され、十分に機能しなければ、ガバメントクラウドを始めとした共通基盤やクラウドサービスの活用は理想通りには進まない。ただ重点計画の裏を返せば、PMOやPJMOの人員や能力、予算は必要な水準に達していなかったわけだ。

 実際、十分機能していなかったからこそ、前述のガバメントクラウドの利用意向アンケートに表れたように、各府省庁内でシステム部門と、システム整備・運用を担当する事業担当部門との間で連携が取れていないケースが生じているわけだ。重点計画にはこの点の問題意識が反映されたという。

 最後の課題は、デジタル庁内で各府省庁との連絡ラインが複数に分かれ、混乱を招いているという課題だ。課題解消に向けデジタル庁は2022年5月、各府省庁と連携するための「政府DXチーム」を新たに立ち上げ、各府省庁への支援体制を充実させるとした。

 具体的には、デジタル庁内の4つのグループ(各府省庁の局に相当)が連携して、各府省庁に対して情報システムの予算からプロジェクト管理、技術支援などを統合して支援できるよう体制を再編・整備している。

先進事例から学べるか

 新型コロナウイルス禍を背景に急ピッチで進む行政DX。民間の力を借り他国の先例を参考に進めているが「制度、業務、システムを三位一体で進める必要がある」(デジタル庁幹部)ため、全てが計画通りに進むわけではない。

 政府全体のクラウド活用が行きつ戻りつするなか、いち早くクラウド活用を成功させた国の行政組織も出てきた。例えば農林水産省はガバメントクラウド構想の前から、マルチクラウドの「MAFFクラウド」を独自に整備・活用している。それを実現できたのはPMOやPJMOを整備し、PMOが省内の全てのプロジェクトを把握、支援できる体制を整えたからだ。

 最高裁判所はシステム部門と業務部門の連携不調を既に解決している。混成チームでバーチャル組織「デジタル推進室」を立ち上げ、システム開発と業務の一体運用に取り組んでいる。

 デジタル庁はこうした先進事例と連携しているが、そこから学び、全体統制に生かし、不協和音を打ち消せるか。手腕が問われている。