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 東京大学大学院の小林研介氏らの研究グループは、ナノダイヤモンド(nmサイズのダイヤモンド粒子)の精密な磁場イメージング手法を開発した。従来手法と比較して正確性が最大約50倍向上した。ダイヤモンド量子センサーによる高精度な局所磁場計測が可能になるという。

<研究の概要>
キーワードナノダイヤモンド、ダイヤモンド量子センサー、磁場イメージング、機械学習、ガウス過程回帰、ヘルムホルツコイル
関連研究者小林研介、蘆田祐人、佐々木健人、塚本萌太
関連研究機関東京大学大学院
関連論文掲載先Scientific Reports
関連論文タイトルAccurate magnetic field imaging using nanodiamond quantum sensors enhanced by machine learning
関連論文URLhttps://www.nature.com/articles/s41598-022-18115-w
詳細情報https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2022/8041/

 ダイヤモンド中の窒素-空孔中心(NVセンター)における電子スピンの量子状態は、室温で長く保たれ、光学的に読み出し可能という特性を持つ。この特性を磁気計測に応用したのが、ダイヤモンド量子センサーである。研究グループは、カバーガラス上に生成したナノダイヤモンド膜について、機械学習手法であるガウス過程回帰を適用することで、物理モデルに依存しない磁場推定法を開発した。学習データは、前述のナノダイヤモンド膜の磁場依存性をヘルムホルツコイルで厳密に調べることで得た。そして、ガウス過程回帰から得た関数の出力結果と、ヘルムホルツコイルによる計測結果を比較したところ、磁場強度が0~2500μTの範囲でほぼ整合していた。一方、ナノダイヤモンドが散らばった状況を考慮した物理モデルで磁場推定する従来手法では、ほとんどの領域で整合していなかった。

 ナノダイヤモンド膜は、あらゆる形状の物質に付着させられる。そのため、本研究成果によって、磁性体や電子デバイス、磁性生物、鉱物などで、ダイヤモンド量子センサーを用いて高空間分解能かつ正確な磁場推定可能になると研究グループはみている。

(a)は実験装置の模式図。対物レンズを通してレーザを照射し、ナノダイヤモンドの発光を測定する。(b)は機械学習の模式図。ナノダイヤモンドのスペクトルを複数の磁場強度で測定したものを学習データとする。機械学習によってスペクトルを磁場強度に変換する関数を得る(出所:東京大学大学院)
(a)は実験装置の模式図。対物レンズを通してレーザを照射し、ナノダイヤモンドの発光を測定する。(b)は機械学習の模式図。ナノダイヤモンドのスペクトルを複数の磁場強度で測定したものを学習データとする。機械学習によってスペクトルを磁場強度に変換する関数を得る(出所:東京大学大学院)
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