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 名古屋工業大学大学院の林幹大氏らの研究グループは、商用ポリエステルを出発物質とした材料変換(アップサイクル)技術を開発した。必要試薬の添加と加熱という簡単な操作により、付加価値の高い樹脂にワンショットで変換した。物性向上と機能付与を実現しており、現行のリサイクルプロセスとは一線を画す手法だという。

<研究の概要>
キーワードポリエステル、アップサイクル、主鎖分解、結合交換、架橋反応、Floryゲル化理論
関連研究者林幹大
関連研究機関名古屋工業大学大学院
関連論文掲載先Journal of Materials Chemistry A
関連論文タイトルOne-shot transformation of ordinary polyesters into vitrimers: Decomposition-triggered cross-linking and assistance of dynamic covalent bonds
関連論文URLhttps://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2022/TA/D2TA04110C
詳細情報https://www.nitech.ac.jp/news/press/2022/9879.html

 今回開発したのは「ポリエステルの主鎖分解」と「結合交換反応」を駆使した材料変換技術。ポリエステルに対し、多官能エポキシ化合物と塩基性有機触媒を混合し、200度の熱処理で完結する。熱処理下でポリマー鎖が連結していく架橋反応が起こり、初期状態よりも耐熱性と力学物性が向上した材料に変換できた。弾性率は約60倍、最大強度は約10倍向上した。得られた架橋体では高温で結合交換が活性化し、再成形性や修復性などの機能も発現した。

 研究グループは今回、従来の架橋概念(Floryのゲル化理論)とは異なり、ポリマー鎖の分解をトリガーとして進行する新規架橋反応を確認。ポリエステルの材料変換に利用できることを実証した。今後は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリルなど他の商用ポリマーへの技術展開を進める方針だ。

(a)は分子設計、(b)は架橋反応後試料の外観、(c)は元試料と熱処理後試料の熱-力学物性(温度分散粘弾性測定)、(d)は引っ張り試験に基づく力学物性の比較(出所:名古屋工業大学)
(a)は分子設計、(b)は架橋反応後試料の外観、(c)は元試料と熱処理後試料の熱-力学物性(温度分散粘弾性測定)、(d)は引っ張り試験に基づく力学物性の比較(出所:名古屋工業大学)