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 中部大学と東北大学の研究グループは、温度差による横滑り力「クヌッセン力」の発生メカニズムを解明した。マイクロマシンのような微細機械の駆動や、センサーなどに活用できる可能性があるという。

<研究の概要>
キーワードクヌッセン力、分子シミュレーション、熱流体力学、マイクロマシン、センサー
関連研究者米村茂、クリント・ジョン・コーテス・オティック
関連研究機関中部大学、東北大学
関連論文掲載先Physics of Fluids
関連論文タイトルMechanism of tangential Knudsen force at different Knudsen numbers
関連論文URLhttps://aip.scitation.org/doi/full/10.1063/5.0096324
詳細情報https://www.chubu.ac.jp/news/7766/

 クヌッセン力は、のこぎり歯状の表面構造を持つ高温基板に低温物体を1μm以下の距離まで近づけると生じる。従来、熱流体力学で説明できなかった。

 本研究では、クヌッセン力を分子シミュレーションによって再現した。熱流体力学では説明できなかった発生メカニズムを、気体分子運動論を用い「世界で初めて理論的に解明した」(研究グループ)。具体的には、両物体間の距離が気体分子の平均自由行程の1/100から10倍までの間の大きさである場合にのみ顕著に現れることが明らかになった。加えて分子の入射・反射によって物体表面に伝えられる運動量に着目し、発生原理を理論的に解明した。この現象を利用すれば、従来にない装置の開発が可能になる。例えば、二重円筒の内側円筒の外表面に微細表面構造を施して加熱すれば、内側円筒が回転するモーターとして機能するという。

 微細機械を動かすためのエンジンや電気モーターを作り込むことは難しい。だが、回転軸表面を微細加工するだけであれば比較的容易となる。今後、より強い力を効率的に得るための方法や最適な表面形状についての研究が進むと研究グループはみている。

クヌッセン力は表面微細構造を持つ高温基板と低温物体の間に生じる(出所:中部大学)
クヌッセン力は表面微細構造を持つ高温基板と低温物体の間に生じる(出所:中部大学)
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クヌッセン力を活用したモーターのイメージ(出所:中部大学)
クヌッセン力を活用したモーターのイメージ(出所:中部大学)
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