全725文字
PR

 神戸大学大学院と東北大学の研究グループは、強磁性合金である鉄・パラジウム(FePd)と2次元物質であるグラフェン(Gr)の異種結晶(FePd/Gr)界面の構造と特性のシミュレーションを実施し、実験値を再現していることを確認した。シミュレーション技術を活用することで、スピントロニクスデバイスの機能予測やデザイン最適化、材料探索を効率化できる可能性があるという。

<研究の概要>
キーワード強磁性合金、鉄・パラジウム、グラフェン、スピントロニクス、不揮発性磁気メモリー、MRAM
関連研究者植本光治、小野倫也、安達隼人、永沼博
関連研究機関神戸大学大学院、東北大学
関連論文掲載先Journal of Applied Physics
関連論文タイトルDensity functional study of twisted graphene L10-FePd heterogeneous interface
関連論文URLhttps://aip.scitation.org/doi/10.1063/5.0101703
詳細情報https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2022_09_06_01.html

 FePdは、垂直磁気異方性の高さと磁気摩擦定数の低さからスピントロニクス向けの磁性材料として注目されている。FePdを不揮発性磁気メモリー(MRAM)の磁気トンネル接合素子(MTJ)として利用するために、FePdにGrを積層した構造が最近実験的に合成され、良好な性質を持つことが報告されている。本研究では、第一原理計算を用い、エネルギー的に安定と考えられる界面構造の予測と、その電子・磁気状態を解析した。安定構造の候補のうち、ツイスト(Fe格子とGrがねじれた配置で積層)界面モデルが、-0.19~-0.22 eV/atomの大きな吸着エネルギーを持つことが明らかになった。加えて、吸着状態の特徴を調べると、ファンデルワールス力による物理吸着と化学吸着の中間的な振る舞いが現れた。先行実験で報告されている「しなやかな」結合と「強い」混成軌道の存在が理論的に確認できた。

 本研究では、FePd/Gr界面のさまざまなタイプの構造モデルを提案した。少ない原子数で構築された計算モデルを用いれば、実際の実験を行うよりも低コストで研究開発を進められるという。FePdのほか、鉄・白金(FePt)やコバルト・白金(CoPt)などの強磁性合金と2次元物質界面の理論モデル構築に役立つと期待されている。

鉄・パラジウムとグラフェンの異種結晶(FePd/Gr)のツイスト界面モデルの例(出所:神戸大学)
鉄・パラジウムとグラフェンの異種結晶(FePd/Gr)のツイスト界面モデルの例(出所:神戸大学)
[画像のクリックで拡大表示]