米国サンフランシスコで半導体の国際イベント2つが同時開催された。設計関連のイベント「59th Design Automation Conference:DAC 2022」(2022年7月10~14日)と製造関連のイベント「SEMICON West 2022」(7月12~14日)である。どちらのイベントでも半導体開発の主役として威光を放っていたのが、大手IT企業、いわゆるGAFAM†である(図1)。
今世紀(21世紀)の初め、デジタル民生機器で日本が世界をリードしていた頃、日本は先端SoC(System on a Chip)の開発で一目置かれていた。例えば、半導体設計用ソフトウエアのEDA(Electronic Design Automation Conference)ツールのユーザーとして、日本の半導体メーカーは学会や講演会で引っ張りだこだった。その後、先端SoCが搭載される機器がスマートフォンに移ると、米Qualcomm(クアルコム)や台湾MediaTek(メディアテック)、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)らがEDAツールの代表ユーザーとして登場するようになった。
5G(第5世代移動通信システム)時代になり、スマートフォン向けSoCが先端である状況に変化はないものの、半導体開発でより大きな力を持つ集団が現れた。GAFAMと呼ばれる大手IT企業である。これらの企業が運用するデータセンター/クラウドでは先端プロセッサーや先端メモリーが大量に使われ、さらに自ら半導体を開発するケースも大幅に増えているからだ。こうした状況を反映するかのように、今回の2つのイベントにおいて、米Amazon Web Services(AWS)やGoogle(グーグル)、米Meta Platforms(メタ プラットフォームズ)、米Microsoft(マイクロソフト)の半導体部門のエンジニアやマネージャーが登壇する場面が目立った。
例えば、AWSのDavid Pellerin氏(Head of Worldwide Business Development for Infotech and Semiconductor)は、2022年7月11日(米国時間)に行われた「SEMICON West 2022」のプレイベント「SEMI Market Symposium」に基調講演者として登壇した。10年前から米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)やAWSで半導体の利用や開発に携わってきたという同氏は、AmazonやAWSでは多数の半導体を使っているだけではなく、独自の半導体を開発してきたことから、「Amazonはファブレス半導体メーカーでもある」と述べた(図2)。