全1974文字

 米Toyota Motor North America(トヨタ モーター ノース アメリカ、以下TMNA)の研究所が行った、自動運転に向けたデジタルツインの実験が、半導体設計のイベント「59th Design Automation Conference(DAC 2022)」(2022年7月10~14日、米国・サンフランシスコ)で紹介された。このデジタルツインには3つの特徴がある。1つ目は、クルマだけでなく、ドライバーと周辺の交通状況のデジタルツインも含まれること。2つ目は、実物と仮想モデルがリアルタイムで連動すること。3つ目は機械学習機能を備えており、それによって最適化を図れることである。

 紹介したのは、米Purdue University(パデュー大学)でAssistant Professorを務めるZiran Wang氏である(図1)。同氏の前職はTMNA研究所のPrincipal Researcherであり、前職で携わっていたデジタルツインの実験に関してチュートリアルセッションで講演した*

* 「Cloud Computing and Edge Computing for Connected and Automated Vehicles」というチュートリアルセッションにおける講演の1つで、 Wang氏の講演タイトルは「Mobility Digital Twin for Connected and Automated Vehicles」だった。
図1 登壇したZiran Wang氏
図1 登壇したZiran Wang氏
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 TMNAのデジタルツイン実験システムは、3つのデジタルツイン(実物と仮想モデルのペア)から構成される(図2)。すなわち、ドライバー、クルマ(コネクテッド自動運転車)、周辺の交通状況のデジタルツインである。それぞれのデジタルツインは通信チャネルを通してリアルタイムに連動する。すなわち、どちらかが変化すると、その変化が他方にリアルタイムで反映される。実験に使ったデジタルツインのシステムは米Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドをベースに構成されている(図3)。クラウドに仮想モデルが構築され、実物やその他から集めたデータを収集・解析し全体を制御する。

図2 3つのデジタルツインで構成
図2 3つのデジタルツインで構成
左から、ドライバー、クルマ(コネクテッド自動運転車)、周辺の交通状況のデジタルツインである。各デジタルツインは仮想モデル(上)と実物(下)からなり、仮想モデルと実物はリアルタイムで連動する(出所:Purdue UniversityおよびTMNA)
[画像のクリックで拡大表示]
図3 実験に使ったシステムの構成
図3 実験に使ったシステムの構成
主な要素はAWSのクラウド上に構築されている(出所:Purdue UniversityおよびTMNA)
[画像のクリックで拡大表示]