失敗にこそさまざまな教訓・知見が潜んでいる。製品故障から工場の爆発まで、実際に起こったさまざまな事故・トラブルの原因を技術的な視点からひもとく。

事故は語る
目次
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絶えぬエレベーターの戸開走行事故、ブレーキ異常の予兆あるも対策せず
エレベーターの扉が開いたまま、かごが上昇・下降する「戸開走行事故」が後を絶たない。2019年12月に京都市内の病院で発生したエレベーター事故もその1つだ。調査の結果、事故の元凶は製造不良でゆがんだとみられるブレーキ部品と推定された。さらに、設置・保守点検業者の管理体制にも大きな問題が潜んでいた。
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軌道投入に失敗したイプシロン6号機、原因はダイヤフラムの吸着
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年10月12日に打ち上げた「イプシロン」ロケット6号機が軌道投入に失敗した原因を突き止めた。ロケットの姿勢を制御する小推力の液体ロケット推進系において、推進剤タンク内のダイヤフラム(弾性膜)が、同タンクから液体ロケットエンジン(スラスター)に推進剤を供給…
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相次ぐロケット打ち上げ失敗、次なる成功の鍵握る素早い原因究明と復帰
2022年から2023年初頭にかけて、世界的に衛星打ち上げロケットの打ち上げ失敗が続いた。例えば2022年10月12日には日本のイプシロンロケット6号機が姿勢制御系トラブルで失敗。同年12月14日には中国の宇宙ベンチャーであるLandspaceの液体ロケット「朱雀2号」の初打ち上げが2段姿勢制御系…
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「0.1mmの金属粒」がブレード破断の元凶、日本航空B777のエンジン事故
2020年12月4日、日本航空(JAL)のBoeing(ボーイング)777-200型機が那覇から東京国際空港(羽田空港)へ向けて上昇中、同機左側エンジンのファンブレードが破断した。原因は製造時にファンブレードの内部表面に溶着したわずか約0.1mmの金属の塊。これが起点となって生じた亀裂が定期検査で…
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イプシロン6号機打ち上げ失敗、原因は姿勢制御系配管・バルブのトラブル
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2022年10月18日、文部科学省・宇宙開発利用部会に、同年10月12日に発生した「イプシロン」ロケット6号機打ち上げ失敗に関する事故調査の中間報告を提出した。
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イプシロン6号機の打ち上げ失敗、原因は姿勢制御系のトラブルか
2022年10月12日に予定されていた「イプシロン」ロケット6号機の打ち上げが失敗に終わった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星打ち上げ用ロケットの失敗は、2003年11月29日に内閣官房の情報収集衛星2機をペイロード(積載物)とするH-IIAロケット6号機の打ち上げに失敗して以来19年振りだ…
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トラック事故の訴訟が変わる、重要性増す安全性への取り組み
エンジン出火に初の製造物責任(3)
2012年7月7日に広島県東広島市内で発生したトラックの火災事故をめぐる裁判で、大阪高裁は製造元であるいすゞ自動車の製造物責任を認め、トラックの所有者だった東和運送に車両や積み荷の損害など約9400万円の損害賠償金を支払うよう命じた。今回は、トラックの火災が発生したメカニズムに対する大阪高裁の判断…
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トラック火災、使用者に「欠陥の詳細を証明させるのは酷」と高裁判断
エンジン出火に初の製造物責任(2)
トラックのエンジン出火事故で製造物責任が認められた。走行中にエンジンから出火したトラックが全焼した事故で、トラックの所有者だった東和運送(大阪市)は、製造元のいすゞ自動車を相手取って損害賠償金約1億円を請求。
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「トラックには欠陥があった」、いすゞに損害賠償金約1億円を請求
エンジン出火に初の製造物責任(1)
走行中にトラックのエンジンから出火。車両と積み荷が全焼する事故が発生した。トラックの所有者だった東和運送は「トラックには欠陥があった」と主張。製造元のいすゞ自動車を相手取って損害賠償金約1億円を請求した。一審の大阪地裁はこの訴えを退けたが、二審の大阪高裁はいすゞ自動車の製造物責任を認め、請求金額の…
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パナのLEDスタンドで異常発熱、原因はICの静電破壊
2022年1月、LEDデスクスタンド(以下LEDスタンド)を使っていたユーザーから、プラスチック樹脂のベース(台座部分)の一部が高温で溶けて変形し、置いてあった畳が焦げたとの連絡が、製造元のパナソニックに入った。